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「AJEC/第4回編集教室」聴講レポート
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■AJEC/「第4回編集教室」聴講レポート 2017.9.26
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朝夕はすっかり秋らしくなりました。お元気でいらっしゃいますでしょうか。
先週の21日(木)に行われました日本編集制作協会(AJEC)主催の編集教室
を聴講いたしました。
聴講レポートにまとめましたので,ご一読いただけますと幸いです。
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■AJEC/第4回編集教室(主催:日本編集制作協会)
読者が引き込まれる文章とは?「編集者に必要な文章力」
講師:作家/元朝日新聞社・主任研究員 高橋 俊一 氏
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第4回の編集教室は,90人を超える人が聴講しました。
高橋俊一さんは,日頃,大学でジャーナリズム論や文章論を教えていらっし
ゃいます。
非常にてきぱきとわかりやすい説明でした。
曖昧なところがないため,頭の中にすんなりと入ってくる内容のお話でした。
高橋さんは,編集者は執筆者の原稿を読み込んで,具体的にどのように直す
べきかを伝えられる力が必要,と言われます。
読者を逃がす文章になっていないかという観点で読み込むには,編集者自身
が,読者を逃さない文章を書けなければならない。
今回は編集者として必要な文章力を養うための,具体的で実践しやすい注意
点をご教示いただきました。
《文章を書くときの注意点》は,
1)センテンスの短い文章を心がける。
2)段落分けを心がける。
3)「漢・カ・英・役」+1に気をつける。
・「漢」は,常用漢字と現代仮名遣いを貫くこと
・「カ」は,カタカナ用語を多用しないこと
・「英」は,英語による言い回しは多用しないこと
・「役」は,お役所用語は使わないこと
・「+1」は,「的・性・化」は使いすぎないこと
4)キーワードのダブりに気をつける。
5)過剰な力説と反語だらけの文に気をつける。
というものです。
上記注意点それぞれに,事例を準備され,読み上げながら,どこがどう悪い
のかを丁寧に説明されました。
具体例を2つ紹介いたします。
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★3)の「カ」(カタカナ語を多用しないこと)について。
× 人間ファーストがわが社のキホン中のキホンで,どんなシチュエーショ
ンでもクライアントを盛りたてるスキームと,それを実現するだけのスキル
があることを示すべきだ。
〇 人間第一がわが社の基本中の基本で,どんな状態でもお客様を盛りたて
る企画と,それを実現するだけの技能があることを示すべきだ。
※カタカナ語を多用すると,滑らかさとは反対に,とってつけたような感じ
になる。
★3)の「役」(お役所用語は使わないこと)について。
×関係者に事情聴取した結果を踏まえて善処する方向が適切と思慮していま
す。
〇関係者に事情を聴いた結果を参考にうまく処理するのがいいと思っていま
す。
※お役所用語は,もともと曖昧に,わかりにくくするために進化した言い回
し。
わかりやすく読みやすい言葉を使うようにする。
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最後に,文章に磨きをかけるための実践例を示されました。
天声人語などの名文に,不要と思われる箇所(高橋氏のいう「ダブリ」)の
指摘をし,文章をスリムにするという方法です。
わかりにくい文章を明快にする手法を教えていただきました。
具体例に富んだ2時間ほどの講演は,自分の文章に対する反省を促すところ
があり,うなずいたりどきっとさせられたりする,発見の多い内容でした。
▼推薦書籍
『削るほど良くなる文章の練習帳:すっきり!シャープ!いい文章が書け
る』
(高橋俊一著・河出書房新社)
https://www.amazon.co.jp/dp/430902369X/
(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)