今年最後の,エディットのメルマガ「エディット通信」をお送りさせていただきます。
今年一年たいへんお世話になりました。ありがとうございました。
来年も皆さまにとりまして,良いお年になられますことをお祈りいたします。
2週間ほど前に,JEPA主催のセミナーを聴講いたしました。
漢和辞典のデジタル化という難題に挑戦したかたがたのお話には,刺激と学ぶところが多くありました。
私なりに感じたことをまとめさせていただきました。よろしければ,ご一読いただけますと幸いです。
第1部は,校正校閲専門会社・鴎来堂代表の柳下恭平氏による「俺たちの諸橋大漢和」として,ご自身の校正人生と照らし合わせた諸橋『大漢和』への思いを語られました。
第2部は,『大漢和辞典デジタル版』の開発に携わった,共同印刷の小山誠陽氏,大修館書店の山口隆志氏より,制作にまつわるエピソードのご紹介がありました。
日常的には,一冊モノの漢和辞典しか手に取ったことのない私にとって,『大漢和辞典』全15巻がそもそもどれほどのもので,それをデジタル化しようとされることがどれだけ大変なことなのか,想像すらできないことでした。
第1部で,柳下氏は,『大漢和』は「お守りみたいなもの」だと言われていました。
など,柳下氏のエピソードをたくさん聞くことができ,興味深いものでした。
第2部では,デジタル版の開発にかかわられた小山氏,山口氏の制作の裏話を伺うことができました。
など,さまざまな角度から,この膨大な中身の『大漢和』をデジタル化するまでの逸話をうかがうことができ,興味深かったです。
デジタル版がもたらすメリットとして,大修館書店の山口氏は,3点あげられました。
ということです。
デジタル化することが目的ではなく,使用する人が,いかに効率的に有益な情報を手に入れ,洞察を深められるのかを考えた結果のコンテンツであることがわかります。
最後の質疑応答で,「この膨大なデータを管理するのは大変ではなかったですか」という聴講者からの質問に対し,共同印刷の小山氏が,
「いつもやっている仕事とそれほど大差のないもので,とりたてて驚くようなものではなかったです」
と答えられたのが印象的でした。
制作者としての誇りと自信に裏打ちされた回答であったように感じました。
諸橋『大漢和』の制作や開発に携わられた皆さんに,大いなる敬意を払いたいと思います。
詳しくは下記のページをご覧ください。
>>>https://book.asahi.com/article/12010832