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エディット通信(2019年立春号)

「デジタルによる教材表現とデザイン」を聴講して

2019.2.5

今回は,日本編集制作協会(AJEC)のデジタル部会主催によるセミナー「デジタルによる教材表現とデザイン」の聴講報告です。 講師は,東京書籍株式会社の高野勉氏です。 デジタル教材の有用性について,具体例を交えて,わかりやすく説明されました。 よろしければ,ご一読いただけますと幸いです。


高野勉氏は,長い間,東京書籍でデジタル教科書の制作に携わられています。

などについて,充実した資料をもとに,1時間半にわたり,お話いただきました。

私がとても興味をもったのは,「デジタルならではの教材表現」についてです。

「デジタル教科書・教材」についての私の認識に,あらたな発見と気づきを与えてくださる内容でした。

高野氏が一貫して言われていたのが,生徒・児童にわかりやすく理解を深めるためにデジタルコンテンツがあるのだということでした。

「紙かデジタルか」という二者択一の議論ではなく,紙教材では理解しにくい部分を補助する「デジタルコンテンツならではの機能」があるということをご教示いただきました。

人体図・地図・電池の仕組み図・天気図など,複雑に入り組んだ図解は,紙の教科書上では,すべての要素が入り込んでいて,「→」(矢印)等を多用して表現されています。

全体像を俯瞰したり,理解度を再確認するには,「→」(矢印)がたくさん入った図が理解を手助けしてくれます。

しかし,まだこれから理解をしていこうとする人にとっては,わかりづらく,難解なものになりがちです。

時間の経過とともに,図に矢印や補助する文言が追加されたり,図自体に動きをもたせ,場合によっては音声や映像を追加することにより,初めて学ぶ人のための「理解しやすい」コンテンツ(教材)になります。

このようなデジタルならではの利点を,高野氏は,

と言語化されます。

たとえば,1)「情報量の制御・視点」の例として,

を挙げられました。

上記「図解」については,「人間のからだの中のつくり」の単元を例に話されました。

人体の各所の名称はたくさんあって,人体の部分とその名称を結ぶ線が複雑になり,小さなキャプションにルビがふられているような図版は,見づらくわかりづらいものです。

それらを解消するために,主要な部位のみに絞った人体図を準備し,それぞれの部位を,腑分けして取り出したり,所定の場所に戻したりする作業ができるような画面を作られています。

その画面によって,部位を動かしながらその部位の形を理解し,その名称やその場所が理解できるようになります。

また部位どうしの関係から,その部位がどのような働きをするかを考えることができるので,学んだことが吸収しやすくなります。

あくまで一つの例ですが,このように,デジタルコンテンツであるからこそできる「理解を促す内容」の教材ができました。

たまたま,理科の内容でしたが,この手法をほかの教科のコンテンツにも転用することができます。

デジタル教科書のコンテンツのありかたを知ることにより,児童・生徒が理解しやすい教材を考え出すヒントになったと感じています。

(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)