エディット・メールマガジン/バックナンバー
エディット通信(2019年立秋号)
■AJEC(日本編集制作協会)第3回編集教室
取材力「情報収集とインタビューの技術」聴講レポート
AJECの編集教室に二度目のご登壇となる杉田淳氏は,元「週刊SPA!」編集長です。創刊から10年以上「週刊SPA!」の編集に携わり,今までなかった斬新な切り口の週刊誌を作り上げられてこられました。
昨年の「今の読者を引きつける原稿整理の技術」に続き,編集者にとって大切な「取材力」について,お話いただきました。
「情報収集の仕方」「インタビューの技術」について,まとめさせていただきました。ご一読いただけますと幸いです。
■AJEC(日本編集制作協会)第3回編集教室 取材力「情報収集とインタビューの技術」
杉田淳氏のお話のなかで,刺激になり,ためになったことを五つほど,まとめさせていただきます。
●価値のある情報って,何?
- ただの情報は過去のもの。価値ある情報は,お金を払って得たいもの。
- 価値ある情報は,過去のものではなく,今の時点で「検索」できないもの。
- 情報に「視点」のあるものが,「価値あり」。
→例)ターゲット層を明確にする。テーマを掛け合わせる。
- 価値ある情報を集めるには,タイトルを先に考える(情報の言語化)。
→読者が見えてくる。
→情報が絞り込めてくる。
→詰めの甘い部分があぶり出される。
→的確な取材対象者が浮かんでくる。
●「無理じゃないの?」と思うことも,まずはやってみる。
- 杉田さんの元同僚は,モンデール副大統領に取材をしようとした。
→打ち合わせで「モンデールさんに取材したらどうか」と話が出て,5秒後には電話をしていた。
→「絶対無理」とは思わなかった。
- 結局,その取材はうまくいかなかったが,その元同僚はIT会社の社長になり,今もこのスタンスを変えられていないとのこと。
※ボールを受け取ったら,すぐに投げかえす(行動にうつす)ことが重要。
●行動すると何がいいか?
- 予定調和ではない,生な情報(空気感)が手に入る。
→お金を払ってもよい生の情報源がある。
●インタビューの奥義
- 必ず,レコーダーは二つ持っていく。
→一つの場合,録り損ねが起こったときに大変なことになる。
→電池切れや「録音したつもり」の保険として。
→めったにないけれど,かならずあることなので,気をつける。
- 取材する相手の記事をもっていく。
→話のきっかけになり,話が広がる。取材対象者の信頼も築きやすい。
- 質問項目表を持っていく。
→1.5時間なら10問,3時間なら20問を準備していくと,よい。
- 録音を止めても,取材は終わらない。
→取材対象者は,レコーダーを止めたときに「鎧」を脱ぐ。
→鎧を脱いだ後が大事。雑談をしながら,本音が出る。
●編集者とは?
- 編集者の特典は,会いたい人に会えること。
- いろんな面白い人に会うことで,編集者として成長できる。
- 編集者とは,過去の情報を力技で組み合わせ,言語化し,面白く価値のある話を作り上げることができる人。
杉田さんは話のなかで,取材は「相手ファースト」だと言われていましたが,この編集教室の話の進め方も,「受講者ファースト」で考え抜かれたものでした。
「価値のある情報」を発信でき,「相手ファースト」な配慮のできる編集者になりたいと考えております。