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エディット通信(2020年春和号)

■外山滋比古著『新エディターシップ』(みすず書房刊)を読んで

2020.4.28

外山滋比古氏は,言わずと知れた御年96歳の英文学者です。いまでも新刊を出されるほどの,パワフルな知的巨人といえます。

今回紹介する『新エディターシップ』は,1975年2月に上梓された『エディターシップ』をもとに,2009年に一部改稿したものです。

本書は,私たちが何気なく行っている知的活動の本質を〈エディターシップ〉とし,その創造的な機能を言語化した編集文化論です。

『新エディターシップ』には,14編の論考がまとめられています。そのなかで,私は「見つけて育てる」に大きな刺激を受けました。

『文藝春秋』を創刊した菊池寛が天才的編集者であったことが,日本ではあまり認められなかったことを指摘し,

について,いろいろな角度や資料から,読み解いていきます。

外山氏は,「編集者の仕事は,すぐれた執筆者をさがし,望ましい読者をさがし,両者の橋渡しをすることにある」といわれます。

しかし,この二つの仕事を両方なしうることは難しい,と指摘したうえで,「自然に,執筆者に目を向けている編集者と読者寄りの編集者の二つのタイプができる」といわれ,私は前者の編集者であることを自覚した次第です。

示唆に富む記述を引用させてください。

パーキンズ(出版社スクリブナー社の名編集者/1884−1947)を取り上げたJ・H・ウィーロック(Wheelock)編『著者宛てのパーキンズ書簡集』からは,新人作家の才能を創り出す,ひとりの偉大な編集者像をうかがい知ることができるとのことです。

外山氏は,「大輪の花を約束するつぼみが,固いからという理由で,つぼみ自身,石ではないかと絶望する。そういうとき,パーキンズは話をきいてやり,力づけ,深い共感を示す」といっています。

教材制作の編集者である私にも,大いに学びと示唆に富んだ一節です。執筆者が力を発揮するための「触媒」に,我々編集者もなれるかもしれないと,勇気が湧くような気持ちになりました。

この連休中には,菊池寛やパーキンズのことも調べて,彼らの編集者としての偉業に触れたいと思いました。

パーキンズに関しては,『文庫 名編集者パーキンズ (草思社文庫)』 が参考になります。
https://www.amazon.co.jp/dp/4794221320/

外山滋比古氏『新エディターシップ』(みすず書房刊)の詳細
https://www.amazon.co.jp/dp/4622074699/

(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)