自分の作った本がおおぜいの読者に読んでもらえる−−まさに編集者冥利だ。しかし本はそう簡単にはできない。本はいろいろな工程を経て読者の手に渡る。大きな流れはこうだ。
企画→取材→執筆→整理→割付→組版→校正→製版→印刷→製本→読者。
編集者はこの全体を管理できることが理想だ。とくに前半の「企画」から「校正」までの工程は編集者が責任を持つ。この本づくりの全体の流れは少なくとも編集の1年生から知っておかなくてはいけない。またそれぞれの工程についての基礎知識もできるだけ早く身につける必要がある。
どの工程ひとつを取り出しても,専門的な知識とノウハウが必要だ。またその内容も奥が深い。それぞれにプロフェッショナルな人材や専門家がたくさんいる。
それぞれの工程のノウハウと人脈をどれだけ持っているか。それがその人の「編集力」といえる。
本屋で1冊の本を手に取る。その本がいろいろな工程を経てたくさんの人の力で作られたことを想像できるとき,きみは一人前の編集者になれたといえる。