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エディットお役立ちレポート

2018-05-17 第13期第1回AJEC「編集教室」に参加して

【講義内容】◎コミュニケーション力をつける
〜“イエス”と言わせる依頼のコツ〜

講師:三橋 志津子(みつはし しづこ)氏
フリー編集・ライター
【講師略歴】東京外国語大学イタリア語学科卒業後、東京およびニューヨークの出版社、編集プロダクションで、雑誌、書籍の編集に携わる。その後、フリーランスの編集者、ライターとして多分野で活躍。仕事を進める上でのコミュニケーション術や情報整理の仕方、時間管理に関する執筆に定評がある。著書に『できる人は頼み方がうまい』『最強の整理術』『定時に帰る人はまるで働き方が違う』(河出書房新社)、『修復術』(平凡社)がある。

今回は、コミュニケーション力をつける講座。三橋さんは、フリーの編集・ライターだが、経験も豊富で、この種のハウツー本の執筆もしている。 講演を始める前に、呼吸法の話をし、実際にそれをやって、身体をリラックスさせてくれた。

コミュニケーション力は、「経験」「学び」「応用」のサイクルを回しながら身につけていくもので、「外国語の習得と同じ」というのが持論であり、立場、年齢、環境の違う人とどうつき合うかを失敗しながら、学んでいくことになるという。 そして、全体として、「初級編」「中級編」「上級編」に分けて、解説。

講演内容はAJECのアーカイブにてご確認ください

<感想>

初級編では、クッション言葉を使えることと、お礼をしっかり言うことがポイントのようだ。基本は、好意のやりとりになる。

中級編では、「あなただからこそ頼みたい」という姿勢と、相手の名前を呼んで、笑顔で接することがポイント。

上級編では、誠意と熱量。

ある意味では当たり前だが、基本的には、相手をどれだけ尊重し、立ててあげるかが鍵のようである。身近なところでは、隣に座っている仕事仲間に対する姿勢から、最上級は、ベストセラーを出して大忙しの作家まで対象は広がっていくことになり難しいことではあるが、人間としての基本ができているかが大事である。

私の経験では、当たって砕けるという経験が基本だと思う。要は、コミュニケーションというのは、相手に何か伝わらなければ意味が無いわけで、相手が話しを聞いてくれるようにもっていくことがまず大事だと思う。条件が合わなかったり、都合が悪かったりして断られることがあるだろうが、それを気にしていたら仕方が無い。その意味で、三橋さんのいう、「経験」「学び」「応用」のサイクルを回しながら身につけていくものだというのはその通りだと思った。

ところで、今回の講演では具体的な成功例などは聞けなかったが、上級編でのやりとりは普通のコミュニケーションとは違うような気がする。初級、中級は普段の努力と経験で誰もが達成できるものと思われるが、上級編は、おそらく、それ以上の力が必要になるような気がする。

というのは、上級編の場合、普通だったら断られるけれどそこを何とかイエスと言わせることになるからだ。そこは、単なるテクニックでできるものとは思えないからだ。だから、「誠意と熱量」と三橋さんもいう。

むしろ、中級にまで進んだら、上級編は本人の成長次第ということかも知れない。なぜなら、それまでに作り上げてきた人間関係が役に立つ世界であり、それがないと、あとは運次第というような気がする

<おわりに>

今回の講演では、「相手の話を理解する」というところにあまり触れられなかったように思うが、コミュニケーションの半面は、相手の言葉を理解すると言うことである。これは、言葉だけでなく、相手の仕事や、姿勢を理解するということでもある。仕事を依頼するというのは、基本的に、自分ではできないことや、分からないことを相手にやってもらったり、書いてもらったりすることである。その場合、相手の専門性をどこまで理解しておけばいいのかということもまた大事だと思う。その人の書いた本を全て読んでから依頼すべきという意見もあるかも知れないが、多分、全部理解するのは不可能である。むしろ、こういうことが分からないので教えて欲しいとか、書いて欲しいというほうがよい。

現在、コミュニケーション力というと、相手にどのように話すかが中心になりやすいが、相手の言葉をどのように理解するかという、一種の「読解力」も大事なような気がする。むしろ、こちらがないと、相手に無理難題だけを押しつけて、断られるということになってしまうこともある。

要は、コミュニケーションとは双方向性のものであるということを理解することが大事で、現在は、どちらかというと相手の言うことをじっくり聞いて、しっかり理解するということが大事だという気がする。こうした「読解力」を身に付けておかないと、多分、依頼は受けてもらえないし、相手を理解できないことにもなり、たとえ依頼ができて、仕事を引き受けてもらえても、トラブルのもとになることが多いと思われる。

(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)