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エディットお役立ちレポート

2018-05-30 モリサワ「フォントと組版のいろは」勉強会

はじめに

初心者〜もっと深めたい人向けのセミナーでしたので,若い参加者が大半でした。

内容は,昨年私が参加したもの をベースとした圧縮版,といった形です。昨年との大きな違いは,効率化のための「自動組版」の紹介が省かれ,「フォントと組版」そのものの説明に寄せられていたことです。1時間50分という短い時間の間に,ポイントがギュッと詰められていました。

セミナー内容

1.フォントのいろは

◆文字組版の文化を大切にしたい

組版は,日本の独自文化。せっかくなのだから,基本をしっかり知ってもらいたい。

◆書体とは

「共通の形をもった文字の集まり」のことをさす。

ちなみに最近では,ニンテンドーswitchに「モリサワUD新ゴ」が搭載された。

◆情報における文字の役割
◆文字で印象が変わる
あしがいたい vs あしがいたい
おいしいりんご vs おいしいりんご
◆見た目で瞬時に決まる

視覚教育技術…判断する要素は,視覚が83%を占める。

メラビアンの法則…視覚が占める割合55%。
※そのものを見た瞬間,すなわち一瞬で判断されるということ。

◆文字は「四角」からできていた

原点である活字。四角い枠の中に文字がある。この「四角」が仮想ボディの源流。

◆文字のウエイト(太さ)

単純に太くしているわけではなく,それぞれバランスが考慮されている。

全ウエイトを重ねても,見た目が完全に重なることはない。

◆エレメント

各書体の違いや雰囲気の違いを見分けるポイント。

◆重心と伝わる印象

欧体楷書などは,年賀状によく好まれる。相手に敬意を伝えたいため。

◆違いを見つけるポイント(初級編)

比べてみてください。「永」。新ゴ、ゴシックMB101、フトミン、リュウミン

新ゴ ゴシックMB101 フトミン リュウミン

「ラッパ」のような広がりがあったり,打ち込みが違ったりやわらかさの違いがあったり…

◆ペルソナ…誰に伝えたい? 5W1H(6W2H)を考慮。

なぜその書体を使うのか,理由をしっかりもつこと。

2.組版のいろは

◆本文系の組版

文字サイズに対して,行間75%が最適(ルビを考慮して)。
→行間は50%以上ないと,読みづらい。

◆組み方向と書体

同じ行間で組んでも,どの書体を使うかによって行間が違って見える。

縦組なら明朝が一般的(読みやすい)。

◆禁則処理,アキ量に注意しよう

分離させてはいけない文字,和欧間の適切なアキ量。

欧文間は,区別するため三分アキ(もしくは二分アキ)とされているが,けっこうアキが広くなるので,実際は四分とすることも。

◆詰め組

「一律ツメ」は文字の縦ラインが揃う。

「字面ツメ」は縦ラインが揃わないので,読みづらく,文章ものには向かない。

◆「AP」フォント

ペアカーニングに対応しているOTFフォント→モリサワの「AP OTF フォント」とは何ですか?

3.文字のいろは

◆フォントIDについて

CIDコードGIDコードは基本的に同じだが,GIDコードはフォントによって異なる。そのため,TruTypeベースのOTFは,アプリケーションによって,データを開いたときに狂うことがある。

「異体字属性」を使えば,WEBでも同じコードで使える。

◆IVS

漢字異体字シーケンス (Ideographic Variation Sequences)(Wikipedia )

AdobeではCS4から対応,と,一応うたっている。モリサワでは,バージョン2.0以降が対応。

感想

本日のセミナーでは,「生活のどのような場所で書体が使われているか」や,一部ではありましたが,「1つの書体ができるまで」を紹介した映像を視聴でき,とても興味深かったです。今回も,ところどころで,参加者に意見を求める参加型でしたので,楽しく拝聴することができました。

村山さんからは,書体,組版に対する情熱がとても伝わり,「もっとニッチなお話も伺いたい,知りたい!」と思いました。また,村山さんがお持ちの活字(金属や木製)や,写植文字盤を回覧していただき,手に取って拝見することができました。特に,写植文字盤の現物(ゴナなど)を初めて見ることができたことに,とても感動しました。

セミナー中,昨年と同様に「あなたならどのフォントを選びますか(答えはないです)」というアクションがありました。会場の反応は,無難なものを手堅く選択する方が多く,昨年の私も同じでした。しかし,今年は,昨年あまりふさわしくないのでは,と感じていたフォントを選択したくなり,感覚に変化が起きていることが嬉しくもあり,不思議でした。

(文責:名古屋本社・制作部 堀あやか)