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エディットお役立ちレポート

2018-06-28 第13期第2回AJEC「編集教室」に参加して

【講義内容】◎原稿整理の仕方
〜今の読者を引きつける原稿整理の技術〜

講師:杉田 淳(すぎた あつし)氏
扶桑社書籍編集部編集長
【講師略歴】元「週刊SPA!」編集長。1988年の創刊から10年以上「週刊SPA!」の編集に携わり、今までなかった斬新な切り口の週刊誌を作り上げる。現在は、扶桑社の書籍編集部に在籍し、書籍を制作。最新刊は、爆笑問題・太田光氏の語り下ろし『違和感』が好評。「週刊SPA!」編集部以前は、音楽専門の出版社(シンコーミュージック)や編集プロダクション(オメガ社)の経験もあり、総合出版社だけではない経験も豊富。

今回は、「原稿整理」の力をつける講座。講師の杉田さんは、扶桑社の編集長。雑誌の編集が長いが、書籍編集でも実績を積まれていて、現在は、書籍編集部に所属。

講演内容はAJECのアーカイブにてご確認ください

<概略>

今の読者を引きつける原稿整理の技術:

<感想>

杉田さんの講演のポイントは、編集者の役割というところにある。

本づくりには、いろいろな段階があるが、原稿を入手して、それを最初に見るのが編集者である。杉田さんの言葉で言えば、「編集者が初めての読者である」ということになる。

編集者が原稿整理をして、入稿して初めて、次の校正の段階に進む。もちろん、編集者は、原稿整理だけでなく、企画・執筆依頼もするし、校正もする。ある意味では、本づくりのマネージャーが編集者である。今回の講演は、編集者が、最初に原稿に向き合って、何をするのかが、テーマである。

原稿が仕上がって、読者の目となって最初に原稿を読むのが編集者の役目である。そのとき、頭の半分は著者側、もう半分はビジネスマンとして原稿に接することが必要だと言う。なぜなら、著者の主張を世に示すこと、そのために、それに対して読者に興味を持ってもらい、買ってもらえる本にすることが、編集者の役割だと言う。

杉田さんの講演は、とても分かりやすかった。多分、彼が「SPA」編集者時代に培った編集者としての知識・技能が確かだったからだと思われる。「SPA」の読者は、特に男性サラリーマンが中心だと思われるが、読者を惹きつけるために様々な工夫をしている。そして、雑誌記者というのは、ライターでもある。

原稿整理のいろいろな側面と、そこで出現する問題(表記のあり方、差別語の処理の仕方、読みやすくする工夫、読者の興味をそそらせる仕組み等など)については、とても分かりやすい用例が示されていた。

本当は、書籍編集の場合の原稿整理は、企画がしっかりしていて、よい著者に恵まれれば、ほとんど問題にならないはずである。しかし、なかなか、そんな原稿に出会えないのが現実である。だから、編集者は、苦労することになる。特に、書くことの専門家でない人に原稿をお願いすると言う場合は、著者と編集者のキャッチボールで原稿をつくりあげなければならない。むしろ、リライトするのが普通になる場合が多い。

今回の講演は、校正の前段階での原稿整理という点に焦点を絞って話された。

特に、リライトをするときに注意事項として、「原稿を書くと、客観性を失う」ということや、差別用語については、「大事なのは文脈」であること、「いい原稿にはリズムがある」として、「段落は、読むスピードを加速する働きがある」「読点は、文章のリズムをつくっている」というような文章のリズムの重要性、また、「書き上げた原稿は、一晩寝かせた後に推敲する」とか、「企画趣旨が曖昧なまま著者に原稿を発注しない!」というのは杉田さんの経験に裏打ちされていると思った。

さらに、原稿を書く力をつけるには、「自分より文章がうまい人に添削してもらう」「いい原稿を、写し取る」、また本づくりとしては、「本のフロント部分で、書籍のイメージはまったく違ったものになる」として、「自分のためにこの本があると読者に思わせる」など、心に響く言葉がたくさんあった。

私には、杉田さんの講演は、原稿整理というより、原稿を自分で書くときにより参考になると思った。

(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)