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エディットお役立ちレポート

2018-09-20 第13期第4回AJEC「編集教室」に参加して

【講義内容】◎プレゼンの技術 〜説得力ある発表の仕方〜

講師:島田 始(しまだ はじめ)氏
元マガジンハウス編集者、トレンドジャーナリスト、跡見学園女子大学講師
【講師略歴】1973年平凡出版(現マガジンハウス)入社。人気女性雑誌「anan」でファッション、旅、流行担当(アンノン族の旅ブームを仕掛ける)を経て、人気女性雑誌「Hanako」創刊に携わり、特集責任者として街や有名ブランドの特集をはじめ、デザート、アウトレット、海外ウェディングなど数々のブームをつくりだす。その後、書籍編集部編集ディレクターを経て、2010年に独立。現職。
【著書】『編集者になる』『ライターになる』(メタローグ)、『僕たちは アイデアひとつで 未来を変えていく。』(アスコム)ほか

島田さんは、女性誌の編集者で、流行の最先端につねに敏感だったためか、おしゃれでダンディーな人だった。講演も、パワーポイントを使って説明するという一般的な講演とは違って、1枚のレジュメをもとに、次から次へと面白い話を聞かせてくれた。

講演内容はAJECのアーカイブにてご確認ください

<概略>

今の読者を引きつける原稿整理の技術:

<感想>

今回の講演のタイトルは、「説得力ある発表の仕方」だったが、内容としては、「売れる企画」とはどんなもので、それはどうしたらつくることができるかという講演だった。島田さんは、自分の成功体験をピックアップして、また、いろいろな成功例を取り上げ、それがどうして実現したかということを丁寧に説明していた。その意味では、説得力のある講演だったし、とても、興味深い事例だった(詳しい内容は、AJECのレポートを参照)。

開口一番、「売れないんじゃない。売ろうとしないからだ」という言われた時にはびっくりした。島田さんが、尊敬していて、影響を受けた編集者に、安原 顯(やすはら けん、1939年〜2003年)、黒川清一(くろかわ せいいち) がいるが、その二人に学んだことだそうだ。

そして、安原さんは無くなったが、まだ若い現役の編集者の黒川清一さんに、アスコムから出した『僕たちは アイデアひとつで 未来を変えていく。』をつくってもらったそうだ。

島田さんの講演を理解する資料として、また、アイデアの立て方のハウツー本としても、とても面白い本である。この本を読むと、「anan」や「Hanako」がどうして、あんなに面白い企画を立てられたのか、また、マガジンハウスが出している雑誌の企画の立て方の特色なども理解できそうだ。

この本を購入したので、今回の講演に関係することをいくつか紹介しておく。

まず、2)の9つのアイデア発想法とは次のようなものだ。

○仕事が加速する9つのアイデア発想法

次に、編集者は時代の先を読むことが必要として、未来を読むための7つの方法を講演の最後に話された。

○未来を読む方法

確かに、こうした工夫によって、来年はどんなことが起こりそうかはある程度は分かると思われる。島田さんによれば、編集はこうした「知」の他に、心理学の「知」も大事だといい、そうした視点からのアイデアも提案されている。

「人には見えない『微差』を見つける5つの方法」とか、「『ひらめく人』と『ひらめかない人』の10の違い」などと言われると、なんとなく気になってしまう。詳しいことは、島田始著『僕達はアイデアひとつで未来を変えていく。』(アスコム/2012.9.3)を読んでみてほしい。

島田さんの講演で、最も印象に残ったのは、この未来は読めるというところだった。これは、島田さんのレジュメにはなく、最後に付け加えられたように語られたことだが、アイデアというのは、未来のことであり、現在の何かを変えた未来に、自分やみんなの「困った」を解決するなにかとして生まれる。私たち編集プロダクションの場合は、一部はやっているが、主に新企画を提案するより、版元の企画を実現する作業のほうが多いため、あまり、未来を予測して仕事をしているという意識は少ない。しかし、私たちのやっている仕事は、常に未来に向けてつくられるものだ。短期では3か月先、長期では、1年や2年先のものもあるが、それは未来に必要とされるものとしてつくっているわけだ。そうでなければ、売れない。

そういう意味では、私たちは、あるいは編集者は、近い未来や遠い未来について、もう少し思いを馳せる必要がありそうだ。出版物の売上がどんどん減少し、留まるところがなさそうな状況は、ある意味では過去の出来事である。紙という媒体は、自動車業界における石油のようなものかもしれない。メディアもエネルギーも常に変化していく。そんな大きなことではなくてもよいが、編集者の「知」の中に、未来を読む力の必要性は、その通りだと思った。そして、そうした未来を予測したアイデアがまた、未来をつくっていくことにもなる。こういうことを編集者の必要な「知」として語ったことを、私はあまり聞いたことがなかったので、とても印象に残った。

(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)