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エディットお役立ちレポート

2019-06-20 第10回教育ITソリューションEXPOに参加して

6月19日〜21日の3日間、第10回教育ITソリューションEXPOと第2回学校施設・サービスEXPOが東京テレポート駅前にある青海展示棟で開催された。両方合わせて、「第10回学校・教育総合展(EDIX)」というらしい。私は、20日に参加した。

これらは、主として、教師や教育に携わる自治体の職員を対象とした展示会で、セキュリティ/学校業務支援/プログラミング・STEM(学びNEXT)/教材・教育コンテンツ/eラーニング/ICT機器などのゾーンに分かれている。今回は、2020年の新学習指導要領実施を目の前にして、各種の展示や、講演が行われていた。デジタル教科書の法整備(著作権法の改正)は終わったが、環境整備が最終段階になっていて、展示会は、かなり盛況だった。

新学習指導要領実施を直前にして、遅々として進まないICT環境の整備に向けて、昨年の11月に発表された「柴山・学びの核心プラン」に続き、今年の3月には「新時代に学びを支える先端技術推進方策(中間まとめ)が発表され、これからは「教育クラウド時代」にいかに対応するのかが、教育現場の大きな課題になっていた。(「推進方策」の詳しい内容は、講演記録を参照。)

私は、「教育の情報化の最新動向と今後の展望」10:00〜10:45(文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課課長・高谷浩樹)と「マイクロソフトが考える Future Ready Skill−21世紀を生き抜く力─AI、ロボティックスを使いこなし、社会で活躍するための『未来のスキル』とは」11;30〜12:15(日本マイクロソフト・業務執行役員文教営業統括本部長・中井陽子)、そして最後に「人口知能は教育をどう変えるか」13:00〜13:45(公立はこだて未来大学副理事長・松原仁)の三つの講演を聴いてから、遅い昼食を展示棟の外のヴィーナスフォートにあるイタリアレストランでとった。昼食をとるのは会場から遠く大変だった。

昼食後、NECの展示場のセミナーで「デジタル教科書・教材配信サービス」についての日教販のデジタル事業部長の講演(15:00〜15:30)、東京書籍ブースで東京書籍営業部・宮下滉司氏の「デジタル教科書」(15:00〜15:50)を聞いてから、EDUCOMやClassiなどを中心としながら、展示会場を回った。

展示の感想の前に、三つの講演会について触れる。以下、かんたんに内容を紹介する。

●特別講演(10:00〜10:45)
「教育の情報化の最新動向と今後の展望」
文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課課長・高谷浩樹

1)これからの社会と教育

ソサエティー5.0による人間中心の社会がやってくる。ソサエティー5.0というのは日本が提唱する未来社会のコンセプトで、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)の次にくる第5次の新たな社会で、そこではサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合したシステムが実現された社会になると言われている。

こうした社会になって、学校で教えることは役立つのか、あるいはまた、人工知能が人間の仕事を奪うのではないかと言われているなか、これに応えるべく学習指導要領が改訂された。

そこでは、明確に@情報活用能力は言語能力と同様な「基盤となる能力」であること、AICT教育の推進などが明記されている。

情報教育の内容としては、@プログラミング教育、AICTを使う能力、B情報モラル等がある。

2)プログラミング教育について

「手引」が文科省のHPにアップされているので参照してほしい が、特に小学校段階のプラグラミング教育というのは、プログラミング言語を教えるのではなく、かんたんなプログラミングの経験を通して、「論理的な思考能力」を育てることが大事。

「未来の学びコンソーシアム(https://miraino-manabi.jp/)」に詳しい内容や情報が発表されているので参照してほしい。このサイトは、文部科学省、総務省、経済産業省の共同で運営されている。

今年の9月に「未来の学びプログラミング教育推進月間(みらプロ)」が開催される。これは、まずやってみて、問題があれば見つけて早めに解決して行きたいために開催されるもの。

中高は、さらに情報教育が充実される。「情報T」では、プログラミングを学ぶことになるが、これが大学入試科目にもなることになる。

3)ICT環境整備への取り組み

目標は、3クラスに1クラス分のPCを導入するというものだが、まだ、5.6人に1台というのが現状。インターネットに接続できるのは37%で、これらは地域差が大きい。詳しくは文科省のHPを参照

国としては、予算措置として単年度1805億円の地方財政措置をしているが、活用があまりなされていない。

しかし、ICTの活用によって、多様な学習が可能になっているし、デジタル教科書が使えるようになる。また、教科の授業の中でQRコードが使えるようになり、動画など役立つ動画が見られるようになっている。

さらに、学校の働き方改革は、教師の仕事がICTを活用することによって効率化されるようにならないととても不可能な状態だが、そうするための指導員がまだまだ不足している。

PISAの学力調査 のテストの形式がコンピュータを使ったものに変更になっているが、日本ではあまりコンピュータの活用がなされていない。その結果成績が落ちている。また、全国学力調査のとき、英語の試験ができない学校があったりしている状況は、早急に改善されなければいけない。

4)「柴山・学びの革新プラン」の公表をうけて文部科学省が「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」を提言

講演の段階では、中間まとめだったが、現在は最終まとめが出ている 。)

具体的な内容は、以下のとおり。

@遠隔教育の推進による先進的な教育の推進
・遠隔教育の連携先の紹介をはじめとした様々な支援・助言が受けられる環境の整備
・「遠隔教育特例校」の創設を含めた、実証的取組の推進
・遠隔教育を実施するための基盤として、「SINET」の初等中等教育への解放
A教師・学習者を支援する先端技術の効果的な活用
・どのような場面で使うことが効果的なのかについて整理した基本的な考え方を示す
B先端技術の活用のための環境整備
・世界最高速級の学術通信ネットワーク「SINET」の初等中等教育への解放
・パブリッククラウドの利活用に向けた「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の在り方の検討
・安価な環境整備に向けた具体策の検討・提示
・学校のICT環境の現状・課題を踏まえた関係者の専門性を高める取り組みの推進

※昨年度の私のレポートを参照。

これからは、「教育クラウド時代」にいかに対応するかが課題になりそうだ。

●特別講演(11:30〜12:15)
「マイクロソフトが考える Future-Ready Skills──21世紀を生き抜く力──AI、ロボティックスを使いこなし、社会で活躍するための『未来のスキル』とは」
日本マイクロソフト・業務執行役員文教営業統括本部長・中井陽子

インターネット・PCの普及・ITの一般化を経て、携帯・スマホなどデジタルデバイスが大衆化し、IoT・ビッグデータ・AI・ロボティックスなどテクノロジーとサイエンスの融合が起こり、教育の内容がシフトしている。

インターネットは社会とつながる大事なツール。テストで暗記して良いスコアをとるのではなく、「人とつながり、インターネットで情報を集め、テクノロジーを使って学び、何かを作りあげていく」という考え方、思考・合意の形成、そして“動かしていく力”が求められている。

1)2025年に見る新たなテクノロジーよる世界の想定

2)コンピュータが理解し始めた「世界」がある

視覚・声などの知覚情報(Perception)の認識、言語や知識などの認知(Cognition)に関わる理解が進んで、AIにより場合によっては、人間の能力と同等かそれ以上のことができるようになっている。

この結果、私たちの予測をはるかに超えて急速に変わっていく子供たちの未来が登場しつつある。

3)マイクロソフトが定義する21世紀の社会人に求められるFuture-Ready Skills

@Communication(議論しあう力)
・生徒が、プレゼンテーション能力を発揮し、自分の意見を効果的に伝えることができる
・生徒が、外国語を駆使して、国際的で多様性に満ちた場面で活躍できる
ACollaboration(協働しあう力)
・生徒が、楽しんで、任意のメンバーとの共同制作や協働作業のプロジェクトを実行できる
・生徒が、メンバーと協働で創発しあうことで、短時間にプロジェクトを遂行できる
BCritical Thinking(疑問を逃がさない思考性)
・生徒が、論理的思考を用いて、レポートや論文を、文書や表などを使って作成することができる
・生徒が、聴衆の反応や理解度を、ICTを使って確認しながら、会議をファシリテートできる
CCreativity(創造性)
・生徒が、創造力に基づいて、映像・画像、三次元の制作物を自由に制作できる
DCuriosity(好奇心)
・生徒が、遠隔・海外にいる多様なメンバーとでも、好奇心を発揮して、協働で作業できる。
EComputational Thinking(計算論的思考)
・生徒が、大量のデータを分析し、それをグラフ化するなどして、エビデンスに基づいた説明ができる
・生徒が、任意のメンバーと協働し、失敗や思考錯誤を繰り返すプロジェクトを最後まで完遂できる
・生徒が、プログラム言語と思考を駆使して、論理的な制作物を試行錯誤しながら完成できる
FWays of Thinking(学び方の学習)
・生徒が自らの学ぶ意思に基づいて、自分に必要なカリキュラムを構築し、自己学習できる

4)「先生の教え方」「生徒の学び方」を実践的に支えるMicrosoft 365 Educationの紹介

5)グローバル教育・外国語教育を支えるマイクロソフトの支援

6)STEM教育・プログラミングについて

Wikipedia:STEM教育

Microsoft MakeCodeの紹介──オープンソースのプログラミング学習プラットフォーム。参考:https://www.microsoft.com/ja-jp/makecode

●特別講演(13:00〜13:45)
「人口知能は教育をどう変えるか」
公立はこだて未来大学副理事長・松原仁

1)人工知能について

明確な定義はない。時代とともに変わっている。

(人工知能の歴史や、現在ではディープラーニングが人工知能の中心になっていること、また、コンピュータに小説を書かせたプロジェクトや、俳句を作らせたプロジェクトなどについて話されたが、これは昨年の講演とかぶるので、昨年のレポート参照。)

2)人工知能が得意なこと、苦手なこと

3)教育と人工知能について考えるべきこと

●教育への人工知能の利用
・英語(外国語)の勉強に有効
・アダプテイブラーニング(生徒の学習の様子にコンピュータが進度や内容を適合させる)が可能
・デジタル教科書の利用
・学習スケジュールのコンピュータ管理が可能
・5Gよって遠隔授業がよりリアル化
●人工知能の時代に人間に何を教えるべきか
・記憶の能力は圧倒的にコンピュータが上
・試験で記憶能力を問うことに意味があるか
・外国語教育をどう考えるか
・「考える力を養うべき」なのはその通りだが、どうすれば養えるのか
・考えるために必要な知識は記憶している必要がありそうだが、必要十分の知識はどういうものか
●物理的な学校の役割や人間の先生の役割はどう変化するか
・自宅で人工知能+IT(VRやARなど)を使って勉強できる
・自宅でアダプテイブラーニングができる
・不要とは思わないが、学校と人間の先生は人工知能と役割の分担を考える必要がある
●リカレント教育(生涯教育)を促進するにはどうすればよいか
・リカレント教育は仕事場(自宅)で行われるか、学校で行われるか
・人間は(現役である限りは)一生勉強し続ける必要がある(人工知能は人間の仕事を奪うことはないが、変化させる)
●(人工知能の専門家を育てるのではなく)教養としての人工知能の教育の必要性
・大学生みんなに人工知能を教えるのはとても大変(教員不足、高校までの基礎が不不統一)
・機械学習や統計のために線形代数が必須
・理科系と文化系の区別をなくす教育が必要
・線形代数さえわかっていれば、機械学習や統計を使えるようになる(ex.データサイエンス)

全体として、人工知能の進化によって、教育の在り方、内容などがかなり変わってくることを強調されていた。これらは、次期学習指導要領の改訂の課題になる可能性がありそうである。

■展示場

【NEC】

NECのブースでは、日教販のデジタル事業部長の講演を聞いた。

NECと日教販が提携して、「デジタル教科書・教材配信サービス(OPE)」をはじめるという。内容は、以下の3点。

@デジタル化された数多くの教育アプリが登場する中、デジタル教科書・教材、教育アプリに付加価値をつけ提供するプラットフォームを構築する。
A日教販とNECが持つ全国販売網を通じ、低廉な端末と共に、デジタル学習コンテンツ、ICTサービスを教育現場に提供する。
B学習者や保護者の最適な教材選びを、AIが蓄積したビッグデータを基にサポートする。

おそらく、この提携が成功するかどうかは、いかに多くのコンテンツが揃えられるかによると思われる。 

いちおうタイムスケジュールとして、2020年〜21年にかけて外部コンテンツの連携を図り、2022年までに独自教材を配信し、2023年にはAIによる最適教材の提供を行うとされている。

なかなか面白い試みだが、子供たちが学校で使う端末が何になるのか、またデジタル教科書は実際どのように活用されるのかがいまだに混沌としていて、今後、このプラットフォームがどれだけ活用されるのかは様子を見るしかないようだ。

教科書会社は、今のところ採択をしてもらうことに必死であり、デジタル教科書は現実的には紙の教科書のコピー(電子版ではあるが)であるので、実際にどのように活用されるのかは、まず教科書を採択してからの話になりそうだ。

【Classi】

昨年のレポートで詳しく紹介したので、今回は詳しくは述べないが、高校では、半分くらいのシェアを持っている。ベネッセとソフトバンクの共同出資の会社だが、最近は小学校でのシェアを広げるため、EDUCOMと提携してグループ企業にしている。

したがって、Classiは、中学校や高校をターゲットとしていくようだ。スマホの利用による、校務、教育、父母との連携をうまく実現していると思った。

今回も、仙台育英高校の教師が自校での活用を紹介していた。

【EDUCOM】

EDUCOMは、愛知県春日井市に本社がある企業だが、特に小学校を中心とした校務システムでは圧倒的なシェアをもっている。今年、Classi傘下になって、Classiの技術などをどのように利用していくか、注目しておく必要がありそうだ。

展示会場にいた社員の方は、「これからの展開は未定」と言っていたが、期待はしているようだった。現在、日本全国で7500校に導入されている「EDUCOMプラネットシステム」は、統合型校務支援の「EDUCOMマネージャー」、子どもたちのICT活用ツールとしての「スクールライフノート」、学校ホームページ作成支援の「スクールWebアシスト」、保護者向け情報配信ツールとしての「C4thHome&School」などが組み込まれている。

今のところ、主として校務系が中心だが、今後、学習系を豊富に取り入れて、次世代学校支援システムとしてスマートスクール構想に対応していきたいと語っていた。

【NTTグループ】

もちろんインフラは強いのだが、プログラミング教育にも挑戦していた。NTTドコモがembotやセンサープログラミングを提案していた。
※参考:http://gacco.org/sensor_programming_lp002/

基本的には、各種のセンサーやロボットなどを、Scratchを使ってプログラムで動かしたりするという学習である。いろいろなツールとしては、活用がありうると思った。

このブースのセミナーで行われた、「スマートスクール実証から考える情報セキュリティポリシーの今後」(電子自治体エバンジェリスト・高橋邦夫氏)の講演が面白かった。

高橋さんは、文部科学省教育情報セキュリティ対策推進チーム副主査という肩書きを持っているが、しばらく前までは自治体の職員であったそうだ。

現在、学校では、校務系と学習系が別々になっているが、そのためにデータが重複していて、セキュリティなどの管理が大きな負担になっている。スマートスクール構想のもとでは、クラウドを利用した、一元化されたデータ管理になっていくものと思われるが、その場合のセキュリティをどうするかがこれからの課題になるという。

最初の文科省の高谷課長の講演にあるパブリッククラウドの利活用に向けた「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の在り方の検討と関連していた。

【NHKエデュケーショナル】

昨年もこのブースを見たが、さすがNHKということで、英語教材には圧倒された。素晴らしいコンテンツをたくさんもっている。私たちの受信料で経営されている、いわば国立の企業なので、もう少し開放的であってほしいとは思う。

「NHKプレキソ英語」などのコンテンツについての詳しい内容は、昨年のレポートを参照。

【東京書籍】

ブースのセミナーの「デジタル教科書」の講演を聞く。いわゆる従来の「デジタル教科書」を以下の4つに整理していた。

@学習者用デジタル教科書(紙の教科書の電子版)
A学習用デジタル教材
B指導者用デジタル教科書(教材)→従来のデジタル教科書と呼ばれていたもの
C指導者用デジタルブック(指導書附属)

東京書籍は、小学校の場合は、国語・社会・地図・算数・理科・生活・家庭・保健・英語の紙の教科書をすべて学習者用デジタル教科書として発行するとのこと。

このデジタル教科書では、文字の拡大はもちろん、QRコードを利用して一部資料を動画などでも見られるようになっている。

実際に、学校現場でこのデジタル教科書がどのように活用されるのかは、まだ不明のようだ。

その他の指導者用デジタル教科書や、デジタル教材については、昨年の展示と同じ内容だった。  

【Google】

この会社のやっていることは、ひょっとすると、これからの学校教育の台風の目になるかも知れない。「Chromebook」と「G Suite for Education」が紹介されていた。

前者は、Webベースのアプリを使うシンプルなノートパソコン。低価格で、管理がしやすい。

また後者の中に含まれている、「ドキュメント」「スプレッドシート」「スライド」は、ほぼマイクロソフトのWord・Excel・PowerPointに対応している。これは、現在でもグーグルドライブをインストールするとすぐ使えるようになっていて、とても便利である。

今回の展示では、高校生の活用事例が紹介されていたが、ChromebookとG Suite for Educationの普及によっては、小・中でも活用されるようになるかもしれない。

「教育のクラウド時代」という流れの中で、これから脚光を浴びる存在になりそうだ。  

<全体の感想>

今回は、セミナーとブース内で行われている講演などを傾聴していたので、あまり多くのブースを回ることができなかった。

事前に、NECと日教販の提携、またClassiとEDUCOMの提携などの情報を入手していたので、そこを回って内容を確認し、最近のICT教育の課題と動向を知るように努めた。

多分、各展示内容は、昨年とそんなに変わっていないのではないかと思ったが、「教育のクラウド時代」の到来ということの意味が、今回参加してやっと理解できた。

教育のICT化(情報化)が遅々として進まない中、新しくなった柴山文科大臣の柴山プランの動きが注目を浴びていたようだ。特に、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」の中間まとめが出た段階で明確になったのは、「クラウド時代の整備計画」ということだった。

これについては、冒頭の文科省の高谷課長講演で触れられている。

これまでの学校や教育委員会のITCの環境整備は、あくまでも閉じられた世界での話が中心だった。しかし、これからは、インターネットの世界、そしてクラウドでのデータ保存、さらに遠隔教育など、今までとはかなり違ったICT環境が整備されつつある。

こうした中で、注目を浴びているのが、ChromebookとLTEである。(詳しくは、日経パソコン「教育とICT」Spring2019の特集「教育ICT環境整備の新潮流」参照。)

Chromebookについては、Googleのところで触れたので、ここではLTEについてかんたんに触れておく。

LTEというのは、Long Term Evolution(ロングタームエボリューション)の略で、モバイルキャリアが提供している携帯電話回線網のことである。Wi-Fiと違って、ケータイ電波がつながるところならどこでもつながる。各キャリアが設置した電波局から出ている電波を利用するため、安定したインターネット接続ができる。しかも、LTE接続は、電話回線網を使うため、直接的には既存のインターネットから切り離されている。通信速度もこれから5Gになるなど速くなれば、LANやWi-Fiなどと違って、インフラ整備には費用も時間もかけずに、いつでもどこでも高速につながる、ICT環境の整備が可能になる。

問題は、無線LAN(Wi-Fi)は通信料金がかからないのに、LTEは通信料金がかかる点である。しかしどうやら、無線LANの維持費や保守契約などの管理コストに比べて、そんなに高いわけではなさそうだ。NTTドコモなどは、ボリュームサービスもあり、ケースバイケースで対応するようで、これからの新しいビジネスになる可能性があるようだ。

実際、東京都の町田市では、2020年に向けて、ChromebookをLTE接続で利用することを決め、全小中学校62校の児童・生徒用に2,800台、全教職員1,800名分の合計4,600台の端末を導入する計画を進めているという。

Classiなどは、生徒のスマホによるインターネットの利用を前提にしたサービスなどをしているわけで、今後の学校教育でのクラウドの活用やスマホ・タブレットなどの活用については注目していきたい。

(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)