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エディットお役立ちレポート

2019-07-22 二大取次の決算発表──どちらも減収減益

紙は減少、電子書籍が増加傾向か

新文化 の2019年6月6日号によれば、日販・トーハンとも、連結で2018年度は減収減益になった。相変わらず、書籍や雑誌の売り上げが大幅に減少している。これは、2大取次の書店経由での売上が落ちているということである。

これに対して、今年の2月の講談社の決算、5月の小学館の決算発表では、両者とも増収増益になっている。

講談社と小学館の売上の中身を見てみると、書籍・雑誌・コミックなどの紙ベースの商品は全体としてかなり減少しており、代わりに電子書籍や版権収入の増加が特徴的だ。当然なことに、日本の2大出版社の販売の書籍・雑誌・コミックの売り上げと日販・トーハンの売上は、互いに連動している。

2018年の出版物推定販売金額(2018年1月〜12月)(出版科学研究所 発表・出版月報1月号)によれば、紙+電子合計の売上高は1兆5400億円で、 前年比3.2%減。これに対して電子市場は好調で、2479億円の売上で、11.9%の増になっているという。いかに紙の本の売り上げが低下しているかがよく分かる。

書店に取次が本以外を提案する時代へ

日販・トーハンの決算から考えて、紙の本を販売しているリアルの書店はかなり苦戦していることが想像される。

日販の 開発商品、トーハンのMM商品(マルチメディア商品 )は、どちらも書籍ではない商品だが、現在書店を賑わしている。 特に大型書店では、本以外のものも並行して販売していかないと、なかなか経営は難しいと思われる。

高い返品率と2次流通本の増加が与える影響について

さらに、返品率がトーハン40.7%(同0.1%減)、日販37.1%(同0.5%減)と、多少改善されているとは言え、まだ高い。特に、雑誌の返品率が日販でも45%以上になっており、結果的に、雑誌は、売れているものを除けば、おそらく作ったものの半分以上は廃棄処分されていると思われる。−−最近、物流費の増加が出版社や取次、書店の経営に影響を与えているが、こうした返品処理のための物流コストは、特にリアルの本の流通のネックになりつつあるようだ。

また、ブックオフは、4年ぶりに黒字になっている。総売上高807億9600万円で、本の売り上げは2.3%増となっている。Amazonは取次経由ではなく出版社との直取引を増加させており、中古書店での売上の統計はよく分からないが、相当な売上を担っているのではないかと思われる。

これら2社は、日販・トーハンとは異なる独自な流通経路を持っていて、日販・トーハンの売上減少の要因にもなっている。

現在は、電子書籍の2次流通本は存在していないが、先述のアソビモの事業 が始まり、それが普及すると、また新しい動きが始まるかもしれない。

【参考】

●日販の2018年度成績
書籍  2168億5800万円(前年比4.9%減)
雑誌  1376億0300万円(前年比8.5%減)
コミック 651億3700万円(前年比0.7%増)
開発品 269億1500万円(前年比0.2%減)
返品率 37.1%(前年比0.5%減)
●トーハンの2018年度成績
書籍 1697億3400万円(前年比2.5%減)
雑誌 1331億0500万円(前年比7.4%減)
コミック 439億4000万円(前年比0.1%減) 
MM商品 503億7900万円(前年比23.4%減)
返品率 40.7%(前年比0.1%減)
(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)