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エディットお役立ちレポート

2019-12-03

出版から販売まで担うDNPの「第三の創業」とは?

「新文化」2019年7月18日号によれば、DNP は出版企画から読者に本を手渡すまで、従来の出版ビジネスモデルを革新する新施策として、DNPグループのシナジーを活かした「ブック・ライフサイクル・マネジメント(BLM)」、「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」、「コンテンツ・ライフサイクル・マネジメント(CML)」の3概念を軸に、約70の施策を提案した。そして、既存の物流・販売モデルの革新を目指し、出版企画・広告・製造・流通・販売など出版業界のすべてに携わる同社グループの強みを活かし、「オールDNP」のスローガンをもって取り組むという。

まず、「ブック・ライフサイクル・マネジメント(BLM)」とは、読者が「欲しい本を、欲しい時に、欲しい形で手に入れられること」を実現するために、本のライフサイクル全体を支えるもので、DNPは広告配信プラットフォーム「DNP BookAD」を活用して商品と読者をマッチングしたり、出版社倉庫と丸善ジュンク堂書店の倉庫「SRC(書籍流通センター)」をEDI連携したりすることで、引当率の向上や納品リードタイムの短縮などを図るという。

そして、「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」は、出版社の業務プロセスを最適なかたちに変革し、出版社がコンテンツづくりなどの「コア業務」に注力できるようにするためのもので、業務の設計・ワークフロー構築・システム導入・運用までをパッケージした「駐在型&メ集・制作支援サービス(仮称)」や、AIを活用した雑誌誌面のレイアウト自動生成サービスなどを展開していく。

最後の「コンテンツ・ライフサイクル・マネジメント(CML)」は、コンテンツを消費者に届けるプロセスや形態を変革し、コンテンツを継続的・多角的に活用することで収益を最大化するためのもので、「本」というかたちにこだわらず、雑誌ブランドと出版業界外の企業をマッチングさせたオリジナル商品の企画・開発や、キャンペーン・プロモーションなどを実施していくという。

DNP本体は、紙に印刷するとういう仕事はすでに主たる業務ではなくなっているが、「丸善」「ジュンク堂」「文教堂」「SRC」などを傘下にもち、印刷・製本だけでなく、紙の本の流通にも携わっている。GAFA の台頭やスマートデバイスの登場によって消費者の行動様式や価値観が変化しているなか、出版流通構造改革の必要を痛感しているようだが、すこし紙の本に拘っているような気がしないでもない。

ライバル社の凸版印刷が印刷テクノロジーを使っていろいろなサービスの創造を目指しているのに対して、DNPは第三の創業で新しいビジネスモデルの創造を目指していると思われるが、今回はあくまでも出版の世界に拘った改革のようだ。凸版の「BookLive! 」に対抗して、DNPは「honto 」があるが、これの位置づけが筆者には今ひとつよくわからない。

(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)