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エディットお役立ちレポート

2020-10-21

第10回「コンテンツ東京2020」に参加して

10月21日〜23日の3日間、「コンテンツ東京2020」 (第10回ライセンシングジャパン、第9回クリエイターEXPO、 第8回映像・CG制作展、第8回コンテンツ配信・管理展、第6回先端デジタルテクノロジー展、 第6回コンテンツマーケティングEXPO、第4回広告デザイン・プランディングEXPO)が 東京ビッグサイト西展示棟で開催されました。
これらを合わせて「コンテンツ東京2020」と言います。
私は21日に参加しました。

今回も、二つの特別講演を中心とした参加になりました。
二つとも、三人の鼎談でした。
三人の経歴と鼎談内容を簡単に紹介します。
今回の「コンテンツ東京EXPO」の雰囲気を味わってください。

<特別講演@>
「コンテンツ×マネタイズ〜変革が起こるコンテンツのマネタイズ方法とは──サブスクリプション・無料・後払いなど」

(株)幻冬舎編集者・箕輪厚介氏
「田畑大学」塾長・田畑信太郎氏
(株)CyberNow取締役・「新R25」編集長・渡辺將基氏

三人の鼎談で、渡辺將基さんが司会進行役。

箕輪厚介さんは、幻冬舎の編集者ですが、副業があって、その一つが「箕輪編集室」というネットサロンの運営です。
詳しくは、「箕輪編集室(https://community.camp-fire.jp/projects/view/34264)」 の中の「箕輪編集室とは」というページにいろいろ書いてありますが、基本的には、

  1. 豪華ゲストの定例会やイベントを楽しむ
  2. いろいろなイベントでアウトプットする
  3. みの邸や地方チームで仲間を見つける

というようなことができるサロンです。

会費は月額5,900円で800名くらい。
入ってくる人は、フリーで活躍している人(会社員が多い)や会社を辞めて自分探しをしている人などがいますが、仕事をしている人のほうが長続きしているそうです。
実力のある人は、仕事が増えるとのこと。

田畑信太郎さんは、慶応を卒業後、NTTデータに入り、その後、リクルートでR25の広告営業の責任者になり、ついでライブドアやLINEの役員を経て、ZOZOに参加。
数々の炎上発言でも有名。(https://proff.io/p/tabbata

「田畑大学(https://community.camp-fire.jp/projects/view/84245)」は、箕輪編集室と同じ、クラウドファンディング「camp-fire」にあるサロン。
会員は200名ほどで、プロのビジネスマンになるための切磋琢磨する場となっているそうです。
会員が自分のブランド力を上げることが目的とのこと。
スポーツクラブのノリで200名くらいの参加。
目的は、いわばビジネスで戦う力を鍛えることですが、昔は会社の上司や友人たちとわいわいガヤガヤしながら、身につけていましたが、 最近は、上司や先輩との付き合いがなくなっているので、このサロンに入って来る人が増えているとのこと。
ビジネスのクラブチームのようなもの。
あまり大きくはしないとのこと。
女性は2割くらい、しかし女性のほうが、退会率は低いそうです。

最後の、渡辺將基さんは、サイバーエージェント100%出資の子会社のCyberNowの取締役で「新R25」の編集長。
この会社のVisionの「すべての若者が、仕事を愉しみ、人生を愉しむ未来をつくる」というところが面白いです。
「新R25」は、「仕事も人生も、もっと愉しもう」ということをモットーとしたWeb雑誌です。
「新R25」のレギュラーに、箕輪厚介さんや田畑信太郎さんが入っていて、渡辺さんがプロモートして、鼎談をよくやっているようです。
個別に企業などから呼ばれると話しにくいことがあったりするようですが、渡辺さんが企画して鼎談をすると、とても話しやすくなると言っていました。
渡辺さんは、インフルエンサー出演のコンテンツを作り、企業から金を取っているとのこと。
企業のほうも、売れるインフルエンサーの出演だと、人が呼べるので、歓迎しているようです。

今回の鼎談は、「コンテンツをつくって、どうやって金をとるの?」というのがテーマでした。
コンテンツには、Web上のコンテンツもあれば、紙に印刷されてコンテンツもあります。
しかし、この鼎談でいうコンテンツは、主としてデジタルコンテンツの話が中心。

皆さんが、強調していたのは、10年前とはさま変わりして、Web上のコンテンツに金を払うことに抵抗がなくなっていること。
とくに「note(https://note.com/)」はすごいとのこと。
紙の本とは違う値付けになっているようです。
「note」の記事へのお金の支払いは、一種のコミュニケーションへの支払いになっていると言います。
つまり、知識に金を払うのではなく、人に金を払っているとも言えます。
田畑さんは、最近「note」で800万円の売り上げがあったそうですが、内容は情報のサプリメント。
情報をどのように活用したらよいかの指南書です。

クラウドファンディングについても触れられ、飲食店のクラウドファンディングでは、6割は来店しないそうです。
サブスクリプションより、クラウドファンディングのほうが金は入りやすいとのこと。
インフルエンサーを使わないクラウドファンディングでは、ストーリーがとても大事。
箕輪さんや田畑さんは、個性的なインフルエンサーとして活躍することによって、二人が作るコンテンツに金が支払われるようです。
ユーチューバーとはまた違ったビジネスとも言えそうです。

「新R25」の中に、「私の人脈論(https://r25.jp/article/594448653813427609)」というのがあり、SNS総フォロワー100万人超の「モテクリエイター」として活躍する「ゆうこす(菅本裕子さん)」 へのインタビュー記事が載っています。
「モテクリエイター」なんていう職業があることにびっくりしましたが、彼女の命名だそうです。
その記事を読んでいてさらに驚いたのは、「タイムバンク」という個人が“時間”を売買できるWebサービスがあることでした。
「ゆうこす」さんは2017年に、見城徹さんと90分会う権利を、110万円出して購入しているとのこと。
これもある種の人脈を金で購入することです。
もちろん普通の人が買ってもあまり意味がないかと思いますが、こういうことが、金になる時代だということです。

<特別講演A>
「人類の可能性を広げるバーチャル空間──人類の未来にXR・バーチャル空間は何をもたらすのか?〜私たちの生活に起こる、テクノロジーによるパラダイムシフトとは〜」

脳科学者・茂木健一郎氏 SHOWROOM(株)代表取締役社長・前田裕二氏 (株)gumi取締役会長・國光宏尚氏

こちらも鼎談で、國光宏尚さんの司会で進行。

茂木健一郎さんは、脳科学者として有名ですが、最近、講談社現代新書で『クオリアと人工意識』(2020.7.20)を出版したばかり。
XRが脳にどんな影響を与えるのかに興味があるとのこと。
茂木さんによれば、先進国ではIQが上昇しているそうです。
これは、情報空間の変化によるのではないか。
脳は、10%くらいしか使われていないというが、脳がどのように変化するかは興味深いとのこと。
エンタメを愉しんでいるとき、脳はいちばん活動している。
黒沢清の映画は、特殊な仕組みをもっていて、そこがグローバルにエンタメコンテンツになっているとのこと。
(私は、黒沢清監督の映画を観ていないので、よく分からないですが、……)
脳にとって、身体はとても大きな問題になっていて、外界の多様な現象は身体性を通して無意識に働きかけているとのこと。
こうしたことから、英語をマスターするには、生身の外国人と接することがとても大事だそうです。
また、これから、よりリアルなXRが実現できると、新しいクオリアを獲得できるのではないかとのこと。

前田裕二さんは、最近『メモの魔力』がベストセラーになっていて有名です。
ちなみに、『メモの魔力』の編集者は、箕輪厚介さんです。
前田さんは、「SHOWROOM(株)」とう会社の代表取締役社長。
「SHOWROOM」は、非上場で、資本金1億1600万円の会社ですが、2019年度の決算ではマイナス3億1837万7千円の赤字決算だったそうです。
ただし、総資産は13億8299万千円あり、将来有望な会社のようで、『ハーバードビジネスレビュー 未来を作るU-40経営者20人』に選出されています。
「SHOWROOM(https://showroom.co.jp/)」は、「すべての人生に、夢中を─Entertain your life」をモットーとしたWebサービスの会社です。
いまの時代は、「やりたい事が分かりません」という人が多いそうです。
そんな中で、「夢中」というのは「夢の中」ですが、「誰かの夢の中に入るのもいい」と言います。
「SHOWROOM」は、夢の中に入る仕組みで、5Gになると、リアルとバーチャルとの境界が溶けてくる時代がやってくるとのこと。

國光宏尚さんは、「株式会社GUMI(https://gu3.co.jp/)」の代表取締役会長。
グループで200億円ほどの売上があり、年間20億円くらいの利益を出す上場企業です。
モバイルオンラインゲーム事業、XR事業(VR、AR、MR等)、ブロックチェーン事業などを展開し、最近は自社タイトルの『ファントム オブ キル』『誰ガ為のアルケミスト』や、スクウェア・エニックスと共同開発した『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』で有名。
XRの技術がバーチャル空間に起こす変化は、2007年が転機。
スマホやクラウドが中心になってきました。
XRとブロックチェーン事業を連携させて、コピーできないコンテンツを配信していきたいと言っていました。

みんなの意見として、まだまだ、現段階では、VRはリアリティが感じられない部分があるが、これから5Gなども実現していくと、よりリアルになるという意見でした。 
VRがもっとリアルになれば、脳の刺激になり、なりたい自分になれるが、リアリティが感じにくいという問題の解決はなかなか難しいようです。
茂木さんによれば、特に、視覚や聴覚はいいが、味覚や触覚、臭覚などはまだ難しいらしい。
脳のメカニズム自体も不明なところが多いと言っていました。

前田さんの「VR空間でジェンダーを考える」という発想は面白かったです。
アバターは興味深いそうです。
ずっと同じままにするか、しょっちゅう変えるかで、状況が変わってきますが、おじさんが美少女になり、スカートめくりをされて怒りを感じたという話は、興味深いです。
なりたい自分になれる。
見た目を自分で選べる。
リアルとバーチャルでは違う人格になれる。
外見の抑圧から解放されるというのは、脳にとって何を意味するかは、これからの課題になるようです。

また、國光さんが強調していた、ブロックチェーン技術を使えば、コビーできないものをつくれるという点も興味深いです。
デジタル空間に価値あるもの(コピーできないもの)ができ、その唯一無二のものが共有できることがWeb上で可能になっていくのは価値あることです。

最後に、茂木さんも指摘していましたが、鼎談中もしょっちゅうメモしていた前田さんは、確かに「メモの魔力」に魅せられた人でした。
そして、とてもイケメンでした。

【全体の感想】

コロナ禍の中で、展示会の運営は、かなり大変そうでした。
講演会場では、入口で熱を測り、椅子の間の距離をとり、わりと配慮されていました。
また、展示会場の入口でも、熱を測ったりしていましたが、会場内はとくに特別な配慮はなかったようです。
だから、場所によっては三密というところも生じていたようです。
クリエイターEXPOでは、昨年の半分以下だったような気がしますが、それでも多くのクリエイターが参加していました。
コロナ禍のせいか、話し込む人は少なく、どちらかと言えば、個人のポートフォリオのチラシを配布していました。
「コンテンツ東京」は、以前は、「東京ブックフェア」と一緒に開催されていて、そのときは、明確にデジタルのコンテンツという感じでしたが、ブックフェアがなくなり、必ずしもデジタルのコンテンツだけが中心ではなくなりました。
今回の「コンテンツ東京」は、デジタルというより、Web経由で流れるコンテンツという印象が強かったです。
 ただ、今回の展示会も「依頼・相談会」としての役割ははっきりしていますが、現在のWebコンテンツの流れにどんな特色があるのかはよく分かりませんでした。

「新文化」2020年2月27日の記事に、講談社の2019年度の決算が出ています。
「売上高2桁伸長、事業収入38.5%増/2年連続の増収増益決算、売上高1358億3500万円 前年比12.7%増 」となっています。
そして、売上高の内訳として、「製品」が643億1000万円(前年比3.9%減)、「広告収入」59億2600万円(同18.4%増)、「事業収入」613億7000万円(同38.5%増)、「その他」10億6700万円(同0.5%増)、「不動産収入」31億6000万円(同0・3%増)となっています。
さらに、事業収入の内訳として「デジタル関連収入」は約465億円(同39.2%増)、「国内版権収入」は約81億円(同36.5%増)、「海外版権収入」は約66億円(同39.5%増)となっています。
講談社は、展示会に参加していませんでしたが、講談社の利益を稼ぎ出しているのは、デジタルコンテンツ部門であり、また著作権というコンテンツに関わる部門であることは明らかです。
これは、小学館や集英社でも同じようになっています。

さらに、出版科学研究所の調査によれば、2019年出版推定販売額は1兆5432億円で、前年比0.2%増ですが、内訳は、紙版が1兆2360億円 で4.3%減、電子版が3072億円で23.9%増 でした。
はじめて、電子版が3000億円を超えました。
ただし、電子版の内訳は、「コミック」が2593億円(同29.5%増)、「書籍」が349億円(同8.7%増)、「雑誌」が130億円(同16.7%減)でした。

明らかに、コンテンツやそれを巡るビジネスの流れが、大きく変化しています。 「note (https://note.com/)」でビジネスができたり、人脈まで金で購入して個人の価値をアップさせて新しいジャンルのビジネスウーマンになったり、ユーチューバーなどという職業が生まれたりしています。 Webの世界では、今までにない新しいビジネスがいろいろと生まれているようです。 二つの鼎談を聴講して、Webの新しい側面を知ることができました。

(文責:東京オフィス 塚本鈴夫)