EDIX大阪2025「AIが教育を変える!~学びの主導権は誰の手に?~」を聴講して

「第8回 EDIX(教育総合展)大阪」は、2025年6月11日(水)から13日(金)までの3日間、大阪府大阪市住之江区のインテックス大阪で開催されました。

EDIX大阪は、西日本最大級の教育関連展示会として、今年で8回目を迎えました。
今回の展示会では、教育ICTや教材、サービスなどを提供する企業約120社が参加し、会場には、AIを活用した学習ツールやVR教材、さまざまな製品・サービスが展示されていました。

私は12日に会場に出向き、「AIが教育を変える!~学びの主導権は誰の手に?~」を聴講しました。
本講演では、青山学院大学の安藤昇先生が進行役を務め、AIと教育の未来について、立教大学の谷口恵子先生、名古屋大学卒アイドルとして活動するあずきあずさんと多角的な意見交換が行われました。
それぞれの立場で考えるAIとの付き合い方を知ることができ、非常に興味深いセミナーでした。
ご一読いただけますと幸いです。

タイトル: 「AIが教育を変える!~学びの主導権は誰の手に?~」
日時: 2025年6月12日(木)11:30~12:30
場所: インテックス大阪

登壇者:
安藤 昇 氏(青山学院大学・青山学院中等部非常勤講師)
谷口 恵子 氏(立教大学経営学部兼任講師)
あずき あず 氏(名古屋大学卒アイドル)

安藤昇氏:教師は「伝達者」から「ファシリテーター」へ

安藤氏は冒頭で、「AIをどう使うか」から「何をAIに任せるか」という新たな問題提起をされました。
旧来の一斉授業を行う「伝達者」としての教師の役割が、生徒一人ひとりの学びの火をつけ、必要な言葉を届けるファシリテーターへと変化する必要性を訴えられました。
AIが進化する時代だからこそ、対面での「人だからこそできる」関わりの価値が、一層高まっていることを示唆されており、教師と生徒の関係性の変化が今後の教育の鍵となると言われていました。

谷口恵子氏:AI活用に不可欠な三つの力

AI活用コーチも務める谷口氏は、AIを効果的に活用するために必要な三つの力として、「試行錯誤力」「言語化する力」「楽しむ力」を挙げられました。
進行役の安藤氏がいつも楽しそうにパソコンに向きあい、AIを試している姿を紹介しつつ、AIという新たなツールに対して、大人も子どもも臆することなく、遊び心を持って主体的に向き合うことの重要性を語られました。
AIを単なる道具としてではなく、共に成長し、新たな可能性を切り拓くパートナーと捉える《楽しむ》姿勢こそが、これからの時代を生き抜く鍵となると強調されていました。

あずきあず氏:生徒が求める「良い先生」像

名古屋大学卒アイドルのあずきあず氏は、生徒の視点から「良い先生とは、やる気を引き出し、学びのきっかけを与えてくれる存在です」と語られました。
この視点は、安藤氏が示した「学びの火をつける」教師像と共鳴するものであり、生徒が自らの興味に基づき主体的に探究できる授業の重要性が示されました。
AIという新たなテクノロジーを前に、教師がファシリテーターとして生徒の学びを支援し、《生徒と教師》《生徒と生徒》がAIを活用して共に成長していくという教育の未来像について考えさせられました。

AIが変える教師の役割と学びの評価

今どきの先生方は、教材研究よりも生徒・保護者対応に追われるのが現状ですが、AIが個別最適化された学びをサポートすることで、教師は生徒一人ひとりの学びのモチベーションを刺激する役割に集中できるのではないか、という見解も示されました。
また、これからの学びは、問題の正解率で測る旧来型から「自分が何を学びたいかを見つけ出し、自らの個性を引き出す学び」へと移行していき、教育評価のあり方も変化していくのではないか、とのことでした。

まとめ:AIと協働する教育の未来へ

今回のセミナーは、AIが教育現場にもたらす変化、教師と生徒の新たな関係性、そして未来の学びのあり方について深く考える貴重な機会となりました。
AIが進化する中で、「人だからこそできること」の価値が再認識され、AIとの協働を通じて、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出せる教育の実現への期待が高まる講演でした。

2025年6月23日 株式会社エディット(文責:伊藤隆)