エディット通信(2021年小暑号)
■編集講座「期待されるアフターコロナの編集者像」を聴講して
2021.7.5
2021年1月から始まった,オンラインによるAJEC編集講座のLコー ス第3回を聴講しました。
今回の講師は,毎日新聞社 社長室委員 中村由紀人氏でした。
中村由紀人氏は,PHP研究所にて出版営業を皮切りに,月刊誌 『Voice』,月刊誌『PHP』の雑誌編集を経て,文庫,ビジネス書な どの編集長を歴任されました。
さらには,デジタル,ウェブ,ライツの3部門で構成された事業開 発本部の本部長として,電子書籍事業を展開されました。
2015年には,毎日新聞出版株式会社設立に加わり,現在に至ってお られます。
今回の「期待されるアフターコロナの編集者像」というテーマは, コロナ禍・コロナ禍明けの編集者の働き方を考えるうえで,たいへ ん参考になるお話でした。
ニューノーマル時代の編集者像の一端について,まとめさせていた だきました。
ご一読いただけますと幸いです。
日本編集制作協会(AJEC)編集講座(2021年6月)
テーマ:「期待されるアフターコロナの編集者像」
毎日新聞社 社長室委員 中村由紀人氏
日時:2021年6月24日(木)18時00分~19時30分
中村由紀人氏より,冒頭でコロナ禍の2020年,2021年の出版業界の 変化・動向について,解説がありました。
その後,6人(米津玄師・フワちゃん・瑛人・Ado・ハラミちゃん・ まふまふ)の写真を見せて,この人たちの共通点は何か,という質 問をされました。
この6人のデビューの仕方には,共通点があるようです。 その共通点は,無名時代から SNS上で自分のコンテンツを配信する ことから始め,認知度が上がり,ヒットを打ち出すという流れで有 名になったことです。
従来の,芸能プロダクションやレコード会社に所属して,ヒットを 打ち出す流れとは一線を画します。
この新しい時代の人たちに見られる「自分で売り出す/自分でデビ ューする時代」が,出版業界にも到来したと中村氏は言われます。
出版社から出版物を出すためには,出版部数の兼ね合い,高額な制 作にかかわる各種コストなどの壁があり,独自コンテンツを出版物 として仕上げるところまで,なかなか踏み切られないのが現状でし た。
ところが,POD(プリント・オン・デマンド)出版であれば,出版社 を通さずに,たとえば,フリー編集者が著者原稿を編集校正して仕 上げていけば,制作にかかる費用が抑えられ,いろんな人が出版物 を廉価で出せる時代になってきました。
そして,編集者の立場が,出版社からの仕事を請け負う形だけでな く,執筆者からの原稿を受け取って,たとえばフリー編集者が自身 の名義で出版社登録(法人登録は不要)をし,自分の出版社から出 版物を発刊するまでの絵を描けるようになりました。
さらには,出版社が主体となって,作家や校正者・デザイナー・DTP 組版会社とのやり取りで仕上がった本が,「編集者」個人が主体に なって出版物を作り上げ,販売・発送までをコーディネートできる ようになりました。
このビジネスの主体となる編集者こそが,中村氏の言われる「アフ ターコロナの編集者」です。
中村氏が,関わられたPOD出版の実例は新たなビジネスモデルの参考 となります。
たとえば,絶版になった大学の先生の出版物を,契約解除(出版社 との契約は3年が主流)して,大学の先生が自身で立ち上げた出版社で書籍化し, アマゾンで売り続けることができるようになった話 はとても興味深い内容でした。
「アフターコロナの編集者の条件」として,5つを挙げられていま した。
- 社員から個人事業主を目指す
- 編集者の人脈は作家だけではない
- 目の前の仕事の理解だけでは足りない
- デジタルとライツは必須の条件
- 業界情報(動き)を知っている
とても刺激の満ちた可能性を感じさせられるお話でした。
以下の記事も参考になります。
「電流協 デジタルオンデマンド印刷ハンドブック発行で記念セミナー,POD活用を紹介」http://www.newprinet.co.jp/?p=30416
今回もエディット・東京オフィスの塚本鈴夫が,この編集講座のレポートを作成しております。合わせてご覧いただければ幸いです。http://www.edit-jp.com/report/2021-0624.html
(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)









