エディット通信(2018年中秋号)

AJEC第4回編集教室/プレゼンの技術「説得力のある発表の仕方」聴講レポート

2018.10.9

2週間ほど前に,日本編集制作協会が主催する「編集教室」を聴講しました。聴講レポートとしてまとめましたので,ご一読いただけますと幸いです。

■2018年度/AJEC第4回「編集教室」(主催:日本編集制作協会)
テーマ:プレゼンの技術「説得力のある発表の仕方」

講師:トレンドジャーナリスト 島田 始 氏
日時:2018年9月20日(木)18時30分~20時00分
会場:DNPプラザ 2F イベントゾーン

瀟洒なスーツで登壇されたトレンドジャーナリスト島田始氏は,元平凡出版(現マガジンハウス)にて,人気女性雑誌『anan』でファッション,旅,流行の担当をされました。

「説得力のある発表」をするために必要な編集者像や,仕掛けを通して新しい流行を紡ぎ出すための具体例,そして未来予想のための手法について語られました。

特に印象に残ったお話を2つほど紹介させていただきます。

ひとつめは,「企画を通すための地道な努力を怠るな」についてです。要点を箇条書きにしてまとめます。

  • 編集部内のほかのメンバーに応援してくれる人をつくること。
  • 社内や社外の人たちへの根回しをしておくこと。
    →「あの人に言われたのだから,ぜったいにやろうよ」と言わせることが大事。
  • プロモーションも同時に考えていることを伝えること。
    →SNSの活用,販促の研究,類書の分析,最近のトレンドの把握。
  • 一人歩きする企画書をつくる。
    →絵コンテを使用したビジュアルプレゼンテーションを心掛ける。
  • 背表紙のデザインを重視する。
    →棚差しになっても,目立ち続けられるかが売れるかどうかのポイントになる。

ふたつめは,「時代の先を読める編集者が強い」についてです。

  • 雑誌は2か月をかけずに制作するけれど,ニュース性で戦うと,ネット記事や動画ブログなどの速さには勝てない。
    時代の先取りをした記事を書けることが大切になる。
  • 雑誌や書籍は,2~3か月後のことをテーマにしたらブログに負ける。
    しかし,7か月後の先を読めば,書籍化の種をつかむことができる。

未来予想のための方法として,いくつか具体的な事例を紹介されました。以下の1)~6)です。1)自分で未来を創る。→JR九州の取り組みや,松下幸之助の生涯は参考になる。2)「決まっている未来」を探す。→例えば,流行色は3年前に決まっているので,そこから未来を予想する。→「インターカラー」(国際流行色委員会が2年先の流行色を提案する選定会議)の記事をみて,未来を予想できる部分を探し出す。>>> http://www.intercolor.nu/3)「的確に未来を読む企業」を知る。→例えば,「ウォルト・ディズニー・イマジニアリング(WDI)」を参考にする。→ディズニーランドのアトラクションを研究開発し,設計している機関。>>> https://aboutdisneyparks.com/about/around-the-world/walt-disney-imagineering4)未来年表から,自分だけの新しい未来を創り出す。→例えば,企業の年表を作ってみると,創業者が来年きりのいい歳であることがわかったりする。→「創業者生誕○○周年」と銘打って,イベントが仕掛けられる。5)定点観測から見える未来をリサーチする。→例えば,食文化は,ニューヨークをマークするとよい。→バブル期以降,ニューヨークで流行した食は,数か月後に東京で流行する傾向がある。6)社会的要因から見える未来を分析する。→「ライフスタイルの変化」「トレンド(潮流)」「未来要因(過去要因)」「流行」というカテゴリーで,キーワードを列挙してみる。→キーワードを単独および組み合わせでとらえると,未来を読むことができる。

未来予想については,今まで考えたことのなかった手法でしたので,大いに参考になりました。

有名編集者・故安原顕氏が島田始氏にかつて言われたという,

「島田さんねえ,本は,売ろうとしないと売れないのですよ」

というメッセージが,印象強く記憶に残りました。

編集者は,予定調和の中にいるのではなく,仕掛けをしていくことの大切さを,今回の講座で学ばせていただきました。たいへん心の熱くなる,あっという間の1時間半でした。

▼参考書籍:『僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。』(アスコム)
>>> http://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-0742-9.html

(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)