エディット通信(2019年歳末号)
■AJEC(日本編集制作協会)編集教室・第4回「“売れる企画”の作り方」聴講レポート・その2
2019.12.27
9月に行われた日本編集制作協会主催の編集教室で聴講した『ざんねんないきもの事典』等の編集者・金井弓子さんのお話を,二回目となりますが,まとめさせていただきました。 金井弓子さんのお話された内容が,編集者にとって,とても役立つのではないかと感銘を受けましたので,再度「聴講レポート」としてまとめさせていただいたしだいです。 ご一読いただけますと幸いです。
■AJEC(日本編集制作協会)第4回編集教室
企画力「徹底した分析と検証」“売れる企画”の作り方
講師:ダイヤモンド社 金井弓子氏
日時:2019年9月26日(木)18時30分~20時00分
会場:DNPプラザ2Fイベントゾーン
『ざんねんないきもの事典』(125万部),『わけあって絶滅しました。』(シリーズ60万部),『やばい日本史』,『やばい世界史』(シリーズ36万部)と,売れる企画を打ち出し続ける金井さんの,考え方・実践例を二つほど紹介させていただきます。
●一つめ
「売れている本をまねしてもパッとしない理由」は,次の3つと言われます。
- テーマやフォーマットは「売れる」核ではないから。
- 本が出てからマネるのでは遅すぎるから。
- 差別化しようとして,どんどん王道から細い道に入り込みがちだから。
では,どうすればよいか,次のように話されました。
- その読者が喜びそうな「別の本」を提案する。
- 売れた背景を分析する。
→書店の棚の歴史から……
→世の中の流れから…… - その分析結果から,いろいろな仮説を立てて検証する。
★金井さんの具体例
『深海生物大百科』という他社の売れた書籍をもとに,『猛毒生物大図鑑』という書籍を企画されました。
- (深海生物大百科の)読者が興奮するであろうテーマを設定した。
- 見たことのない「すごい」「かっこいい」生き物を,今までになかったテーマで提供しようとした。
- 売り場で目立つデザインにした。
- イラストのクオリティーをあげ,本の束を厚くした。
※その結果,『猛毒生物大図鑑』は爆発的に売れたそうです。
●二つめ
金井さんは,「企画段階で書名を決めると,軸が決まる」と言われます。
★金井さんの具体例
◎『わけあって絶滅しました。』が形になる前の自問自答
- 動物本はたくさんあるが,絶滅に焦点を当てれば,個性が出るかもしれない。
- でも,その分野で売れている本はない。どうしたらいいのか?
- 「絶滅」した理由に注目したらどうか?
- ただし,「絶滅」したエピソードだけを書いても,結末が「死」をイメージさせてしまうので,暗くなりがち。
ではどうしたらいいか? - 朝ドラがヒントになった。
「主人公が大人目線で子供時代を語る」スタイルをとれば,嫌みなく楽しい本になるのではないか。
このように,金井さんなりに自問自答を繰り返した後,イメージをラフに起こされたと言われます。
ラフを書きながら,
- 絵本調にして,見せる部分を大きく見せる。
- しっかりした情報と,確かな絶滅動物の姿を入れる。
等の工夫を打ち出して,いちばんコンセプトが際立つレイアウトを,模索されていったとのことでした。
金井さんは,
「本は編集者のものではないけれど,編集者の味は出してもいいのかも。」
「編集者として,自分がどんな要素を提供できるかを考えてみると,面白い視点が生まれてくるかもしれない。」
と言われ,深く納得したしだいです。
よく,子供に勉強を教えるとき,「魚を釣って与えるのではなく,魚の釣り方を伝授することが大事」と言われます。編集者が自立して力強く前進するための《魚の釣り方》を金井弓子さんより教わったように思います。
●エディットでは,もう一人,聴講レポートを作成しています。
エディットのホームページ「エディットお役立ちレポート」に掲載中です。よろしければ,こちらもご覧になってください。
(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)









