エディット通信(2020年卯月号)
■柴田光滋著 『編集者の仕事 本の魂は細部に宿る』(新潮新書)を読んで
2020.4.14
柴田光滋氏は,新潮社にて40年間,文芸書をはじめ,多くの書籍の担当をされてきました。
- 本とはモノである
- 編集の魂は細部に宿る
- 活字は今も生きている
- 見える装幀・見えない装幀
- 思い出の本から
という5章仕立ての本書は,本に関わる基本知識,逸話,各種情報を盛り込んでいます。
目次を見るだけで,本書の大切なことがわかります。
読み進めると,まさに本書で「目次の在り方」について丁寧にまとめられていました。
「(目次には)章題が魅力的ならそれだけでも十分だし,また小見出し列挙の代わりにコピー的な文章を添えるという手もあります。ここは,著者の頁ではなく,あくまで編集者の頁なのです」
といわれるとおり,本書の目次は,きめ細やかな工夫がなされています。
私がとくに興味深く読んだのは,「Ⅱ 編集の魂は細部に宿る」の章にある≪余白は無用の用≫の項でした。
柴田氏が言われるように,余白はあればよいというものではなく,考え抜かれたものでなければいけません。
- 判型にふさわしい余白と本文組を考える
→1段組か2段組かで変わる。
→辞書のような情報量が多いものは余白を少なめにする。 - 天地の空きをどうするか
→ノンブルと柱が入ることを考えると,天地を等分に空けることがよいかどうかわからない。 - 左右(ノド側・小口側)の空きをどうするか
→仕上がったときにノド側が3~5ミリほどノドに喰われてしまうことを想定する。
とし,「余白とは編集者が細心の注意をはらうべき大事なポイント」といわれます。
同じく「Ⅱ」の≪すぐれた著者でも≫の項では,校正の役割を
- ①原稿,すなわち著者の不備を正す。
- ②指定,すなわち編集者の不備を正す。
- ③組版,すなわち印刷所の不備を正す。
とまとめられており,腑に落ちました。
「Ⅱ」の≪基本は引き合わせ≫の項では,引き合わせを「これほど注意力と根気の要る仕事はありません」として,校正者への最大の敬意を払われています。
最終章「Ⅴ 思い出の本から」では,柴田氏が40年間で作り上げてこられた本のエピソードが盛り込まれています。
柴田氏は,私も感銘を受けた辻邦生著『西行花伝』の装幀も担当されています。『西行花伝』の装幀は,贅を尽くしたものですが,そうなるに至った経緯などが書かれていて,興味深く読むことができました。
4月から新入社員として編集を始められる方,今一度,編集のあり方を復習されたい方,文芸書に興味のある方などにおすすめの新書です。
よろしければご一読ください。
柴田光滋氏『編集者の仕事 本の魂は細部に宿る』の詳細は…… https://bookmeter.com/books/603748
(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)









