エディット通信(2020年文月号)
■高橋輝次編『原稿を依頼する人される人-著者と編集者の出逢い』(燃焼社刊)を読んで
2020.7.2
今回は,高橋輝次編『原稿を依頼する人される人-著者と編集者の出逢い』(燃焼社刊)を紹介いたします。高橋輝次さんの編著本『誤植読本』を以前紹介させていただきました。今回の本は,「原稿依頼」を一つのテーマにした高橋氏のアイデアによるアンソロジーです。
本の構成は,
- 原稿依頼の理想と現実―過去・現在・未来―
- 心に残る編集者との出逢い―作品が誕生するまで―
- 私が編集者だった頃
- さまざまな編集者像―よい編集者・駄目な編集者―
- 著者と編集者の間―そのダイナミックス―
- 筆者との出逢いと別れ―現役編集者の経験―
の,6章仕立ての67編によるものです。
これらのなかで,鹿島茂氏「ダメな編集者」,古谷祐司/川添裕氏「多重人格者編集ノート」に書かれていることが印象に残りました。鹿島茂氏「ダメな編集者」には,3種類の編集者を挙げられていて,そのなかの,「本を出したが最後,なにひとつ連絡してこない編集者」に考えさせられることがありました。鹿島氏は,「やる気のある編集者にとって,(本が出てから2カ月のあいだ)はひとつの大いなるチャンスである」と言われます。
例えば,
- その本の書評が出れば切り抜きを著者に送る
- 売れ行きがよければ一緒に喜び,悪ければ一緒に嘆く
- 読者カードに励ましの言葉があれば,著者と共有し勇気づける
等のことを,著者とやりとりすることが,著者との信頼関係を作ることになるのだと書かれています。
古谷祐司/川添裕氏「多重人格者編集ノート」のなかでは,著者から受け取った原稿を読んだら,コメントをするようにしたいと書かれています。原稿に対して適切なコメントを加えることは,なかなか難しく,ときに頓珍漢なこともあるけれども,それでも,「短くても,無骨でも,言葉足らずでも,整理されていなくても,そして大恥をかいてもよいから,出来るだけ何かいいましょう」と言われます。その理由は,「書いた者にとって嬉しいから」とのことです。「物を書くなどという作業はきわめてマイナーな心細い作業であって,……いったい誰が読んでくれるか見えない状態で,……よれよれ歩いているようなもの」だから,コメントをもらうことが,著者にとって嬉しいことなのだと言われます。これは,タイトルの≪多重人格者≫にあるように,編集者と執筆者の両方の立場に立つ人だからこそのメッセージなのだと思いました。
耳の痛い話,ためになる話,元気になる話など,盛りだくさんの「原稿依頼」に特化したアンソロジーを,ぜひご一読いただければ幸いです。
『原稿を依頼する人される人-著者と編集者の出逢い』の詳細は・・・
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(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)









