エディット通信(2021年立夏号)

■『編集者の危機管理術 名誉・プライバシー・著作権・表現』(堀田貢得・大亀哲郎著/青弓社)を読んで

2021.5.18

 『編集者の危機管理術 名誉・プライバシー・著作権・表現』は,前回のエディット通信でご紹介した,AJEC編集講座の講師・大坂温子さんのお薦め書籍です。

 著者の堀田貢得氏,大亀哲郎氏は長年,小学館において出版物に関わる訴訟処理や著作権等の法務を担当してこられた方々です。

 この本のまえがきに,「いまどきの編集者が最低限身につけておくべき必須の『危機管理』マニュアルを,実例を通して解説することが狙い」とあります。編集者が予期せぬ陥穽に陥らないように《知の武装》をすることを提案されています。

 昨今の出版業界は,著作権法侵害などで提訴され,回収に追い込まれるケースが増えています。エディットにおいても,執筆者の原稿に対して「著作権」をつねに意識して,原稿整理をするようにしています。

本書「第2章 盗用か,引用か――著作権侵害の境界は微妙」の「5 著作権トラブルを防ぐ『これだけは要注意!』」にある

  • 文章の引用は,原点にあたれ!
  • 写真・絵の引用
    →勝手にトリミングしたり,色を変えたりなど,改変してはいけない。
  • 歌詞・楽譜の引用
    →楽曲の題名,作詞・作曲家名を連記する。
  • 出所明示の方法
    →小説や漫画などは,そのページの欄外に載せることも。
  • 著作物を作るために引用する

は,とても有用な内容です。

 執筆者からあがってきた原稿を見る際,何を参考にして執筆したのかをつねに確認すること。このことを忘れないようにしたいと考えます。

 「第7章 最強の編集者は『指摘・抗議・クレーム」への対応がうまい」には,対処する際の具体的な心構えがまとめられており,勉強になります。クレームを受けると動揺し,冷静な判断ができず,かえって相手との関係を悪化させてしまうこともあります。そのようなことが起きないための有効な手法がまとめられています。

 この本の詳細は,以下のサイトにあります。https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787233332/

(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)