エディット通信(2021年深秋号)

■日本編集制作協会(AJEC)/「センスに頼らない,売れる企画の考え方」を聴講して

2021.9.28

先日開催された日本編集制作協会主催の編集講座の聴講レポートをお送りさせていただきます。

講師・長久恵理さんのマシンガントークに最初は圧倒されましたが,話が進んでいくうちに,ご自身が本づくりで大切にされていることを丁寧に語っていらっしゃる姿に感銘いたしました。
ご一読いただけますと幸いです。


■日本編集制作協会(AJEC)9月編集講座/「センスに頼らない,売れる企画の考え方」
講師:ダイヤモンド社・編集部 長久 恵理
日時:2021年9月16日(木)18時00分~19時30分

講師の長久恵理氏は,何社かの編集部を経て,2011年に宝島社に入社されました。
宝島社では,『からだにやさしいレモン塩レシピ』(14万部),『服を買うなら,捨てなさい』(36万部)など,主に女性実用書籍, ムックを担当されました。
2018年よりダイヤモンド社に移られ,『「育ちがいい人」だけが知っていること』(47万部)などを担当されています。

<売れるためにはどうしたらよいのか>というノウハウは,「知っているかどうか」「実践するかどうか」だと長久さんは言われます。

講座の前半では,企画段階のテーマ(市場),切り口,著者,フォーマットの4要素において,それぞれ最強の内容をかけ算していくことの重要性を解説されました。
後半では,ベストセラー本『「育ちがいい人」だけが知っていること』を中心に,上記の4要素について具体的な解説がありました。
そして,最後の20分ほどで,聴講者からの質問に答えていらっしゃいました。

私は,最後の20分ほどの,聴講者からの質問に対する回答が,とても印象的でした。長久さんという〈人となり〉を垣間見るようで,興味深い内容ばか りでした。

箇条書きに,長久さんの回答をまとめます。

  • ためになることを繰り返し先輩や上司に教えてもらっても,それ  だけでは独り立ちできない。
  • 売れている本の真似より,「自分が情熱をもって伝えたいこと・やりたいこと・考えたこと」×「数字が取れる理由」=売れるであると信じて,自分の情熱を大切にしたい。
  • 著者を口説くときに大切にしているのは,「自分の価値観を伝えること」。
    →そのためには,自分を信じること,自分の価値観のアップデートを忘れないこと。
  • デザイナーには,自分(長久さん)の意見にとらわれすぎないようにしてもらっている。
    →意見は言うが,その人の判断にゆだねている。
    →書籍は,自分の意見を押すために作るものではないので……。
  • 頼みたいデザイナーとは?
    →自分ごととしてデザインしている人。
    →必死になっていない,ヌケ感のある人がいい。
  • 企画を具体化するために何を優先的にしているか。
    →そのときどきで,「テーマ」からになったり「著者」からになったりすることもある。
  • 取材で大事にしていることは?
    →めちゃくちゃ脱線すること。
    →著者がしゃべりやすい場にすることをいちばん意識している。
  • ひと粒で5・6度おいしいキーワードはないか考え続けている。
    →「育ち」は,「品格」「常識」から思ったキーワード。
    →中国の記事で「育ちがいい」がキーワードになった内容を3つ見つけたので,これは海外でもいけると思った。
    →会話や発言から価値観の流行を考える。
  • タイトルは,結局,誰かが言いそうなことになる。
    →発売から1年後に購入される層向けにタイトルを考えるのがよい。
    →ロングセラーを仕掛ける。

聴講者を楽しませようという気づかいをされながら,聴講者からのたくさんの質問を,てきぱき答えていらっしゃいました。

売るためのノウハウの実践,自分の信念や価値観をもち,かかわる人たちに敬意をはらうこと。これらの努力や配慮がかけ合わさって「ベストセラー」が産み出さ れていることが実感できた1時間半でした。

なお,9月29日に,続編となる『もっと!「育ちがいい人」だけが知っていること』が発売されるようです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B099N73629/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 エディット・東京オフィスの塚本鈴夫が,この編集講座のレポートをまとめております。下記を合わせてご覧いただければ幸いです。https://www.edit-jp.com/report/2021-0916.html

(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)