エディット通信(2021年弥生号)
■日本編集制作協会(AJEC)/2月編集講座(オンライン)「本の世界観を作る具体的技術(演出力)」を聴講して
2021.3.17
日本編集制作協会の2月編集講座は,オンラインによるものでした。
講師の谷綾子さんは,2005年に高橋書店入社され,『こころのふしぎ なぜ?どうして?』を含む『楽しく学べるシリーズ』を立ち上げられました。現在は,文響社編集部でご活躍されています。『失敗図鑑』『一日がしあわせになる朝ごはん』『うんこ漢字ドリル』などを担当されてきました。たくさんのベストセラーを生み出された谷綾子さんの,本の世界観を作るための具体的な方法について,興味深いお話を聞くことができました。
■日本編集制作協会(AJEC)/2月編集講座(オンライン)「本の世界観を作る具体的技術(演出力)」
講師:文響社 谷綾子氏
日時:2月25日(木)18時00分~19時30分
≪世界観≫とは「世界の見方を変えてくれる世界」のこと,と言われる谷綾子さんより,【本の世界観を作る7つの選択】についてお話いただきました。7つとは,「著者」「造本設計」「構成」「レイアウト」「デザイン」「タイトル・見出し」「文章」のことです。私がとくに興味深く感じたのは,「著者」についてのお話でした。
著者を決めるときの≪著者像≫は,示唆に富んでいます。
- (たとえば料理が)下手な人がうまくできないことを分析できている人。
→ひとつのことをじっくりと考え抜いて言語化できている人。 - 超そもそもの質問に答えてくれる人。
- 「すぐにできること」と「長く維持できること」とが両立できる具体策がある人。
→(たとえばダイエットについて)すぐに痩せられても,一年後に太ってしまうやり方ではいけない。 - 持っている情報に独自性があること。
→その独自の概念に名前を付けられていたら,なお良い。
このように,谷さんの編集者としての経験を昇華させ抽象化させた ポイントは,個別の具体的な問題点を捉えなおすのに役立ちます。
以下に,谷さんが言われた大切なことを,さらに箇条書きにして紹介いたします。
- 企画を具体化する際,類書ツッコミ大会をしてみる。
- →この書籍のどこに,読者がつまづくのか,ツッコミを入れてみる。
- →(料理本なら)このレシピで水分足りてる? など。
- ※決して意地悪なことをしているわけではない。よりよいものを作るための手法。
- 『独学大全』は,鈍器本と言われている。
- →「〇〇すると売れない」の典型とも言える『独学大全』だが,売れている。なぜか?
- →「大全」というタイトルに,嘘のない装幀をしたことが,売れる要因だったのでは?
- 良い本とは,読んだ人がそのあとに,行動に移したくなる内容を持つ。
- →『一日がしあわせになる朝ごはん』では,朝起きるのが辛い人に,義務感からの解放と,朝早く起きることが楽しくなることを伝えたかった。
- 「デザイナーをだれにするか」によって,本の方向性は決まる。
- →日ごろから頼みたいデザイナーリストを作っておく。
- →企画内容や概念目標と,その作家の特徴が合致するのを待つ。
- 概念目標があると,デザイナーさんとやり取りがしやすい。
- →たとえば,デザイナーの佐藤亜沙美さんには「王道感」のあるデザインを頼んでみたいと考えていた。
- →そこから『失敗図鑑』が生まれた。
- →寄藤文平さんの『つながれる言葉』という書籍は,デザイナーとやりとりするためのエッセンスが書かれていておすすめ。
- TV番組『関ジャム 完全燃SHOW』はリテラシーを深めるのに役立つ。
- →専門的な視点で話が進む番組。音楽のことをリスペクトしながらマニアックなことを言語化している。
- →今の自分と乖離した話題を知ることができる番組。
ご自身が日ごろ大事にしている視点,おすすめの本,テレビ,コント,マンガなどを惜しげもなく紹介してくださいました。おすすめの内容は,知らないことがたくさんあり,とても有意義な内容でした。「行動に移したくなる内容の本」を日ごろ編集されている谷綾子さんから学んだことをできるだけ実践して,自分の幅を広げる糧にしたいと思いました。
エディット・東京オフィスの塚本鈴夫が,この編集講座のレポートをまとめております。下記を合わせてご覧いただければ幸いです。http://www.edit-jp.com/report/2021-0225.html
(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)









