エディット通信(2020年入梅号)
■エディット休業日のお知らせ/高崎卓馬著『表現の技術』(中公文庫刊)を読んで
2020.6.10
今回紹介する『表現の技術』の著者/高崎卓馬氏は,電通の広告クリエイターとして活躍され,数々の賞を授賞されています。
JR東日本「行くぜ,東北」,映画『ホノカアボーイ』の脚本・プロデュース,小説『はるかかけら』の執筆など,垣根を越えて,多様な活躍をされています。
本書は,3章仕立てです。
「人のココロにふれる」
「つくり方をつくる」
「発想脳をつくる」
の各章には,高崎さんの広告クリエイターとしての方法論や心構えが,まとめられています。
訴求力のある文章だけでなく,書籍全体の展開も工夫がなされています。冒頭ページでは,
予定調和は,表現の敵だ。
すべての手法はそれを壊すためにある。
という2行が書かれていて,その周りの余白が,次ページ以降をめくりたくなる仕掛けとなっています。
絵コンテによる視覚的な理解の促しあり,詩による凝縮された伝達あり,脚本によるリズミカルな展開を体感する仕掛けあり……と見せ方による≪伝えるアイデア≫が盛りだくさんです。
各項目のタイトルも,思わせぶりで示唆に富む内容です。
- 人は笑う前に必ず驚いている
- 笑いはテクノロジー
- アイデアは目的が連れてくる
- 違和感は答えを教えてくれる
私が考えされられたのは,「ちゃんとコンテを書こう」の項でした。
広告業界では,最近,企画コンテを絵で描かない,カット割りを考えないクリエイターが増えてきているといいます。そのことに対して,高崎さんは,
- カットを割るべきか,ワンカットでやるべきか
- 歌にすべきか,台詞のボリュームはどうあるべきか
- どのカットからストーリーをはじめると効果的か
- 冒頭の台詞をもっと惹きのあるものにする必要はないか
など,十全の配慮のもと,徹底的に考え抜かれた設計図としてのコンテが必要だと言われています。
書籍の編集においても,感覚的・場当たり的な企画はいずれどこかで破綻をきたします。破綻が起こらないように,台割・紙面デザイン・見本原稿をしっかりと準備して,具体的な作業をはじめます。
クリエイターに向けて書かれた『表現の技術』は,広告クリエイターだけでなく,ライター,編集者,デザイナー,制作にかかわるあらゆる人たちに役立つ内容になっています。
ぜひ,ご一読いただければ幸いです。
『表現の技術』の詳しくは……
https://amzn.to/3f6hdTj
(文責:名古屋本社・企画ソリューション部 伊藤隆)









